表現の不自由展「再開は無理」 施設への危険物郵送で名古屋・河村市長
名古屋市の河村たかし市長は12日、市役所で定例記者会見に臨んだ。市民有志による「表現の不自由展」が開かれていた市営ギャラリーで郵便物が破裂したことについて、「差し迫った危険を超える状況に陥った」と施設を休館にした理由を説明した。その上で、主催者側が求める展示の再開は「市民の安全を守るためには無理でしょう」と述べた。 表現の不自由展「再開は無理」 施設への危険物郵送で 名古屋・河村市長定例会見(2021年7月12日)
大阪とは「状況が違う」
市民有志が企画した展示会「私たちの『表現の不自由展・その後』」は今月6日から名古屋市中区の市民ギャラリー栄で始まり、11日まで開かれる予定だった。しかし、8日朝にギャラリーの職員が郵便物を開封すると、爆竹のようなものが10回ほど破裂。けが人はなかったが、市は安全確保のため同日から11日までギャラリー全体を臨時休館とした。このため、不自由展は事実上2日間で中止に追い込まれた。 河村市長は「差し迫った危険を超える、威力業務妨害罪の既遂の状況に陥っている。こういう場合に市民の安全を守るためにストップする(施設を休館にする)のは市長の義務。次にこういうことが起こり得るだろうという、予見可能性や結果回避可能性もあるのに、漫然とやることは業務上過失が成立する」などと主張した。 大阪では府立施設が会場の利用承認を取り消したが、大阪地裁が主催者に利用を認める決定をした。河村市長はこれに「名古屋とは状況が違う」と指摘。名古屋では「差し迫った危険性は簡単に除去できるものではない。まず警察の十分な捜査を待つのが当然のこと」と、名古屋で行われていた展示会の主催者側が求める再開には応じられない考えを示した。 主催者側は12日付で河村市長宛ての抗議文を市に送り、職員が郵便物の開封時に警察に立ち会いを求めた上で自ら開封した経緯や、臨時休館を決めるまでに具体的説明がなかったことに不信感を表明。「市は公共施設における表現の自由の保障を放棄した」「結果的に脅迫に加担した」などと抗議した。 一方、ギャラリー自体は月曜の定休日を挟んで13日には再び開館する予定。不自由展に対抗して9日から11日に開催を予定していた「あいちトリカエナハーレ」は、主催者側が市の臨時休館の措置を了承したという。