[カブトムシ]と呼ばれた超意外なクルマ!? 虫の愛称がつけられた名車たち
草木が緑に色づき、花粉も飛び始める。春真っ盛りの今は、虫たちも元気に活動し始める時期だ。そこで、春の陽気に誘われて飛び出してきそうな、虫に関連する名車をいくつか紹介していこう。意外なあのクルマも、虫と深い関係があった? 文/佐々木 亘、写真/SUBARU、NISSAN ほか
■虫と言えばこのクルマ!でも馴染みのある名前は愛称だった?
虫に関連するクルマとして、まず思いつくのが、フォルクスワーゲンの「ビートル」だろう。近年は、ニュービートルやザ・ビートルの車名で親しまれているが、この名前、元は愛称だったことをと知っているだろうか。 ビートルの愛称がつけられたのは、1938年に登場した、フォルクスワーゲン・タイプ1。正式な車名は時代ごとに異なるが、「フォルクスワーゲン1300」や「フォルクスワーゲン1303S」といったものだ。 ボディ形状がカブトムシにようだからと、本国ドイツでは「ケーファー(カブトムシ)」の呼称で親しまれる。英語圏ではビートル、日本ではビートルの他にもカブトムシや、ワーゲンなどと呼ばれていた。 THE愛され車でド定番。現在でもその人気は、衰えるところを知らない。
■ドイツがカブトムシなら日本はテントウムシで勝負
ドイツの国民車がフォルクスワーゲン・タイプ1なら、日本の国民車はスバル360である。ビートルを模範にしていたこともあり、ビートル(カブトムシ)の対比として、スバル360は「テントウムシ」と呼ばれた。 虫の中でも色鮮やかで、美しさを感じるテントウムシになぞらえたのは、その可愛いボディデザインからだ。また、自動車をマイカーと呼べるまでに身近なものにしたスバル360は、手にとまり指先から空へ飛び立つ小さなテントウムシに存在が近いだろう。 ちなみにスバル360には、コンバーチブル・コマーシャル・カスタムという派生車種があるが、ボディ形状の違いなどもあり、派生車種はテントウムシとは呼ばれていない。
■ちょっと季節を先取り!梅雨の風物詩もクルマになっている?
1990年に登場した、日産のエスカルゴ。昆虫ではないが、日本では「でんでんむし」と呼ばれるカタツムリがモチーフ。無理やりにでも虫関連のクルマにしておこう。 車名は、フランス語でカタツムリを表すEscargot(エスカルゴ)から。またエスカルゴは商用貨物車であり、貨物を表すカーゴ(Cargo)をスペイン語読みしカルゴになって、アルファベット表記はS-Cargoとなる。ちょっとした言葉遊びは面白い。 Be-1やフィガロなどと並ぶ日産のパイクカーは、ビートル(フォルクスワーゲン・タイプ1)やテントウムシ(スバル360)に並んで、可愛らしい見た目をしている。 すべてのモデルに共通するのは、丸みを帯びたサイドビューと真ん丸のヘッドライト。近年の日本車では珍しいデザインである。もしも、丸みを帯びた丸型ヘッドライトのクルマが現れたら、新たな虫車の登場となるのか。 クルマに虫が付くのは避けたいところだが、愛らしい虫の名前が付くことは、喜んで受け入れられるだろう。虫関連のクルマたちは、秀逸なデザインもさることながら、ユーザーに愛され、愛称が付けられていることにも注目したい。 愛称を付けられるクルマも、昨今ほとんど見なくなった。 モノの中でも「愛」が付くのがクルマの特徴だ。虫のように、小さく可愛らしく愛されるクルマが、令和の時代にも登場することを期待したい。