【防犯】「如何なる設備をなすよりも…」100年前の婦人雑誌で発見。警察官が教える“盗難予防の心得”がストイックだった
「設備よりも態度」
戸締りを忘れやすい裏口などの侵入が多いことを踏まえ、防犯の心得も紹介されていました。最初に紹介されたのは「設備よりも態度」。まず精神論から始まるのが当時らしいですね。 「盗難予防の注意として第一に挙げなければならぬことは、戸締りであります」 犯人に聞き取りを行うと、「厳重に戸締りのしてあるところをこじ開けて入ることは、よほど有利な条件のない限りほとんど例の無いことである」と証言したとのことで、犯人の視点から戸締りの大切さを紹介しました。 しかし、「厳重ということには必ず面倒と複雑とが付きまとう」と理解を示し、「さほど厳重なものでなくとも」扉の一枚一枚の戸締りをしっかりと行うことで、泥棒に「警戒の態度」を示すことが重要だと説きました。 精神論的なアドバイスではありますが……犯人の心理を考えると、警戒している家だとアピールすることは大切そうです。
「盗難にあったならば」
次は「盗難にあったならば」と銘打ち、被害にあったあとの対応方法が紹介されていました。そこには「抵抗しないこと」「すぐに警察に通報すること」が肝要であると書かれています。 「抵抗して盗まれたものを取り戻すよりも、即座に交番なり駐在所なりへ報知し、犯人の逮捕を急いだ方が、単に自分ばかりでなく他の被害者をも益する場合が多いのです」 こちらも現代に通用する考え方ではありますが、当時は電話が個人の家に無いことも多かった時代。交番や駐在所へ走って警察の到着を待たないといけないとなれば、犯人を追いたくなってしまうという心理もわかるかもしれませんね。 また、通報の際は犯罪の型(痕跡)を残すことが大事だと紹介していました。 「指紋はもとより、足跡一つにもその人の癖が現れているように、犯罪にも必ず犯人の癖というものが現れています」 「犯罪の場所には指一本触れないというようにして、届け出なければなりません」
「最善の予防法」
最後の項では、電鈴を応用したものや、隣家同士が協力して電線を引き、非常の場合に鈴(ベル)を鳴らして警報し相互に助け合うものなど、当時の最新防犯機器などが紹介されていました。 また、当時の人の中にはピストルを用意し、万が一に備えるような人もいたそうです。しかし強窃盗(強盗)もピストルを欲しがり、手に入れるためには一命を賭けるものも存在するとして注意を呼び掛けています。 そして盗難予防として「最も安心の行く方法」として紹介されていたのは“番犬を飼うこと”でした。今でも番犬を飼う人は多くいますが、当時から犬に力を借りていたことがうかがえます。 そして、記事は最後にこう締めくくっています。 「結局、十頭の番犬を備えても、鉄壁をめぐらしても、住む者が心の緊張を欠いたならば、何の設備をしないにも劣ることであろうと思います。要は心の緊張一つにあるのであります」 時代を感じさせるストイックなアドバイスではありますが、警戒を欠かさないのは大事ですよね……! 当時から言われていたことが、脈々と現代まで語り継がれてきたのを感じさせる記事でした。
【訂正】初出時《盗難にあったならば》内で「通報の際は犯罪の型(痕跡)を残さないことが大事」と表記していましたが、正確には「通報の際は犯罪の型(痕跡)を残すことが大事」でした。お詫びして訂正いたします(2025年1月1日 21時27分)
BuzzFeed Japan