ネガティブな思考のスパイラル、「考えすぎ」を止める方法
これは前述のローラに当てはまる。「私は心の底ではキャンピングカーを買うのが自分のやりたいことだとわかっていました。私たちはお金を貯めていました。それは家族にとって素晴らしい経験になるはずで、夫もそれを全面的に支持してくれていました」と彼女は言う。「しかし、それにもかかわらず、私はじっとして、外部からの承認を求め、頭の中で同じ考えや疑問を巡らせていました。『後悔することになるだろうか? これは責任あるお金の使い方だろうか? 銀行に現金を預けたほうが安全だろうか? 他の人はどう思うだろうか?』と」
自分はそれに値しない、という考え
こうしたローラの疑問をさらに深めたのは、自分にはそれに値しないという思い、自由や家族との経験という夢は彼女の手の届かないところにあるはずだという思いだった。しかし実際に経験してみると違っていた。「バンのキーを手渡されて以来、私は一度もそのことを後悔したり疑ったりしていない」と彼女は言う。 非生産的な思考パターンについて、女性のあなたが強く頷けるとしても、それはそれほど驚くことではない。実際、女性同士のSNSグループでの会話などを参考にすれば、考えすぎは男性よりも女性に多く影響すると言うのは大げさなことではないと感じるだろう。
考えすぎに性差はある?
しかし、科学的には「考えすぎ」についての性差はそれほど明確ではない。「脳の考えすぎの能力と可能性に関して、遺伝的差異を確認できるかは十分には分かりません」と、臨床心理学者で『Rewire Your Anxious Brain』の共著者でもあるキャサリン・M・ピットマン教授は言う。これには心理学者で行動研究者のアントニウス・ヴィーラーも同意する。「認知疲労に関する私の分析では、男女ともに同様の結果が出ており、遺伝的素因を示すデータはありません」
研究で明らかになったのは、特定の脳領域における血流と活動における、より一般的な性差だ。9つのクリニックで行われた45,000件以上のスキャンを比較した2017年の脳画像研究では、女性の脳では前頭前野(集中力と衝動制御に関係)と大脳辺縁系(気分と不安に関係)の血流が著しく増加することが発見されている。 『Women Who Think Too Much(考えすぎる女たち)』を書いた著名な心理学者スーザン・ノーレン・ホークセマは、20年にわたってメンタルヘルスを研究し、女性は男性よりも考えすぎに陥り、そこからなかなか抜け出しにくいことを発見している。