ネガティブな思考のスパイラル、「考えすぎ」を止める方法
同じことを繰り返し考えて、ストレスや不安を感じてしまう「考えすぎ」の現代人が増えている。考えすぎは生産性や幸福度を下げるだけではなく、メンタルヘルスに悪影響を及ぼしたり、判断力を鈍らせることにもつながる。ここでは、考えすぎを抑制しより良い思考パターンへと導くための、専門家のアドバイスをご紹介。 Photos: Getty Images From: Red Online
数カ月ぶりに考えすぎの状態から解放された
ローラ・アンドリュースはカードリーダーに自分の暗証番号を入力したとき圧倒的な安堵感を覚えた。体がリラックスして、頭はすっきりし、ため息が漏れる。数カ月ぶりに、物事をはっきりと冷静に見ることができる。その様子を見たキャンピングカーのセールスマンは、ほとんどの客は現金を渡すことにそれほど乗り気じゃないんですが、と言いながら笑った。 しかし、クリエイティブ・ストラテジストで自分で事業も行っているローラにとって、それは――家族と一緒に英国を旅して一生の思い出を作るための――キャンピングカー購入だけを意味する行為ではなかった。彼女は6カ月間に渡ってずっと続いてきた疲れ果てるような熟考からようやく解放されたのだ。
考えすぎは現代病?
ドラマ「アンジェラ 15歳の日々」のアンジェラ・チェイスの内なる独白からテイラー・スウィフトの楽曲まで、考えすぎはポップカルチャーにおいてはおなじみのテーマだ。考えることで溢れている今日、自己啓発のニッチな語彙だったこの言葉がミームの材料にまでなったのは当然とも言える。 しかし専門家は、「考えすぎ」という言葉は非合理的な心配から最悪の事態を想像することまで、さまざまな心理的症状を覆い隠してしまう、と指摘する。
考えすぎについての臨床的な定義は定まっていない
考えすぎは、ある意味分類の難しい例外的なものであり、研究の進んでいる心理学的概念「認知的過負荷」に近いものだ。認知的過負荷とは、脳のキャパシティーを超えた大量の情報のインプットにより認知の負荷が高い状態と定義される。しかし、考えすぎはそれとは少し異なる。考えすぎについての臨床的な定義は定まっていないが、専門家らは「状況について役に立たない程度まで考えてしまうこと」であると同意する。 考えすぎについて、メリアム=ウェブスター辞典には「役に立たず害になるような方法で、何かについて考えたり分析したりすることに時間をかけすぎること」と記載されている。一方、『Don't Overthink It』の著者であるアン・ボーゲルは「それに値しないものに精神的エネルギーを惜しみなく費やし、反復的で不健康で役に立たない方法で考えること」と広く定義する。