「部長、どうか私を管理職にしないでください」出世したくない会社員が激増する3つの理由
若手社員、新入社員においてはさらに顕著だ。公益財団法人日本生産性本部の「新入社員働くことの意識調査結果」では、新入社員の多くが「役職に就きたくない」と回答した。ただ若者に「割に合わない」という意識は少ない。それよりも「会社に縛られたくない」という思いが強いようだ。「専門技術を磨きたい」「組織に縛られず人脈を広げたい」といったポジティブな傾向も見られる。出世すると会社の意向に従う必要があり、自分のキャリア形成においてマイナスと捉える人が多いのかもしれない。
■出世したくない3つの「本当の理由」 前述したとおり「割に合わない」ことが、出世を断る大きな理由のようだ。それにしても、なぜそのように「割に合わない」と受け止めてしまうのだろうか。多くの人と意見交換してきて、私は次の3つが「本当の理由」だと考えている。 (1)管理者の役割がよくわからない (2)若手を育てるのに苦労する (3)不確実性の高い時代に目標達成できない 1つひとつ解説していこう。 (1)管理者の役割がよくわからない
そもそも管理者(以下マネジャーで統一)の役割についての理解が不足していることが一番の原因だと私は考えている。多くの企業では、マネジャーの定義が曖昧だ。具体的な職務内容が明確にされていないことが多い。私が「マネジャー研修」を通じて、 「マネジメントとは何ですか?」 と質問すると、さまざまな答えが返ってくる。 ・部下育成 ・組織運営 ・組織の仕組み作り ・目標達成の支援 具体的にマネジメントとは何をすることなのか? それは、目標を達成させるため、リソースを効果効率的に配分することである。これがマネジメントの基本だ。単なるマネジメントに「組織」や「部下育成」は含まれない。
セルフマネジメント(自己管理)、タイムマネジメント(時間管理)、リソースマネジメント(資源管理)、プロダクションマネジメント(生産管理)、ヘルスマネジメント(体調管理)……と同じだ。 それぞれ個人でできるし、新入社員にも求められる。ここはとても重要なので繰り返すが、マネジメントは「リソースを効果効率的に配分すること」だ。課長や部長だけの仕事ではない。組織メンバー全員がやるべきことだ、ということを知っておいてほしい。