年金の平均額が「月14万円」って本当?母の年金は「月8万円」だそうですが、なぜそんなに少ないのでしょうか?
「年金の平均額は月14万円」といわれていますが、自分の年金額が平均より低いため、不安を感じる方もいるでしょう。もらえる年金の額には、個人差があります。差が生じる主な理由は、年金の加入期間や加入している制度、賃金の額が違うためです。 この記事では、もらえる年金が少ない理由や、なぜ平均額との差が発生するのかについて解説します。年金の受給額別に、受け取っている人数もご紹介します。年金について詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてください。 ▼夫婦2人の老後、「生活費」はいくら必要? 年金額の平均をもとに必要な貯蓄額も解説
年金の平均的な受給額
一般的な年金の受給額は、どの程度なのかを解説します。厚生労働省年金局「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和4年度末時点での老齢基礎年金を含む厚生年金保険の受給者平均年金月額は14万4982円となっています。 年金月額で受給権者数が最も多いのは10万円以上11万円未満の方で112万7493人、次いで9万円以上10万円未満の方が112万3972人いることが分かりました。 また、年金が7万円以上8万円未満の方は68万7473人、8万円以上9万円未満の方は92万8511人です。このことから、年金が月8万円の方は、ほかの金額帯と比べて少ないとはいえません。 平均年金月額が月14万円程度となっている理由は、9万円以上12万円未満と16万円以上19万円未満の価格帯で年金をもらっている人が多く、どちらも100万人を超えているためだと思われます。 また、最も少ない額は1万円未満で、6万1358人が該当しています。最も高額なのは30万円以上で、こちらは1万2490人いることが分かりました。ただし、ここで紹介したのは厚生年金保険の場合であり、国民年金のみの場合とは異なります。
年金額の差が生じる理由
ここからは、年金額に差がある理由を解説します。主な理由は以下の通りです。 ・加入期間の違い ・加入制度の違い ・賃金の違い ・繰上げ受給の有無 ■加入期間の違い 年金額は、国民年金や厚生年金保険の保険料を納めた期間によって計算されています。全額免除された時期や保険料未納の時期があると、その分を減額して計算されるため、支給される年金額が少なくなります。 ■加入制度の違い 「加入制度の違い」とは、厚生年金保険と国民年金の違いのことです。厚生労働省年金局の「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険の平均年金月額が14万4982円なのに対し、国民年金の平均額は5万6428円となっています。 なぜこのような差があるのかというと、厚生年金保険の場合は、働いているときの賃金によって決定される保険料と国民年金を合わせて納めており、年金額は定額である老齢基礎年金に老齢厚生年金が上乗せされるためです。 一方、国民年金のみの場合は、毎月一定額で1万6980円(令和6年度の場合)のみを納めるため、厚生年金保険に加入している人よりも支給される年金の額が少なくなります。 ■賃金の違い 厚生年金保険は賃金が高いほど負担する保険料の額が大きくなり、その分もらえる年金額も高くなります。一方、国民年金のみに加入している方の場合は、支払う年金額が一定なため、収入による支給額の差はありません。 ■繰上げ受給の有無 年金を受け取れるのは原則として65歳からですが、希望する場合は、60歳から65歳までの間に繰上げ受給をすることも可能です。ただし、繰り上げた場合は年金が減額され、その減額率は一生変わらない点も理解しておきましょう。 日本年金機構ホームページ内の「年金の繰上げ受給」によると、減額される割合は、繰り上げた月数に0.4%を乗じて計算し、繰り上げの請求をした年齢が若いほど高く設定されています。例えば、60歳で繰上げ受給した場合に減額される割合は年金額の24.0%で、64歳での減額割合は4.8%です。 さらに、昭和37年4月1日以前に生まれた方の場合は、減額される割合が異なる点に注意しましょう。昭和37年4月1日以前に生まれた方の場合は、ひと月当たりの減額率が0.5%となり、60歳で繰上げ受給をすると30.0%の減額、64歳だと6.0%の減額となります。 年金をなるべく多く受け取りたい方は、生活に無理がなければ、繰上げ受給の請求を避けた方がよいでしょう。 なお、年金を65歳で受け取らずに、66歳以後75歳までの間で繰り下げて受給する場合には、繰り下げた月数に応じて増額した年金額が受け取れます(年金の繰下げ受給)。