歩夢ちゃん虐待死事件には続きがあった 床下にあった「もう一つの遺体」は一体、誰なのか? 主犯とされた「あおい」の奇妙な人生
あおいはこの時、社員寮で同居していた男も本庄市の住宅に連れ帰った。こうして奇妙な4人暮らしが始まった。 Aさんの母親の介護は、主にあおいと養父が担った。ただ、その裏であおいはAさんの母親にこんな委任状を書かせていた。「口座の管理を(あおいに)任せる」 Aさんの母親は2017年に死亡したが、あおいは行政に死亡届を出さず、生存を装った。年金を受け取り続けるためだ。遺体は床下に埋めた。警察が見つけた「もう一つの遺体」は、Aさんの母親だった。 2018年にはあおいの養父も死亡するが、この時は行政に死亡届けが出されている。 ▽裁判では自己を正当化する主張 いったん2人暮らしになった住宅。そこへ2021年1月、歩夢ちゃん親子が移ってきた。歩夢ちゃんの母親が自宅を出てあおいを頼った原因も、夫の暴力だった。 ところが、4人で暮らし始めてすぐに歩夢ちゃんへの虐待は始まる。殴るなどの暴行に加え、足を持って逆さづりにする、猫用ケージに閉じ込める、雨水タンクに入れてタンクをたたくなど、激しい虐待を受けた。
検察側によると、虐待はあおいの指示を受け、歩夢ちゃんの母親とあおいの交際相手の男が実行した。実行役となった2人は公判で虐待を認めている。母親は「従わなければ家を追い出されると思った」と説明。男は「(あおいを)愛していて、全幅の信頼を置いていた」と口にした。 しかし、あおいの言い分は大きく違った。公判では、自己正当化の主張を次々と展開している。 まず、日常の虐待について。あおいは、「母親から『しつけ』を頼まれたからだ」と強調した。暴行を加えたのは「歩夢ちゃんが弱い者いじめをしないようにという思いが根底にあった」。逆さづりや猫用ケージへの監禁は「(直接体を)たたくより安全だと思った」。 歩夢ちゃんが亡くなった際の暴行に関してはこう弁解した。 「男にマージャンを覚えるように言われていて、マージャンに必死で見ていない」 「突然のできごとで止める間もなかった」 歩夢ちゃんの遺体を床下に埋めたことも、自分の発案ではないと主張。母親から「遺骨を旦那に渡したくない。庭に埋めたい」と提案されたためだと訴えた。