愛車の履歴書──Vol54. 池松壮亮さん(前編)
愛車を見せてもらえば、その人の人生が見えてくる。気になる人のクルマに隠されたエピソードをたずねるシリーズ第54回の番外編。俳優の池松壮亮さんが、今、電動自動車に興味を持っているということで編集部が独自の視点でオススメのモデルをピックアップ。実際に見て、乗った! 前編では日本車の電動モデルを紹介する。 【写真を見る】池松さんと和製スーパーカーの共演がカッコよすぎる!
実はクルマ好き
映画、テレビドラマの話題作への出演が続き、第74回「芸術選奨」の映画部門で新人賞を受賞するなど、池松壮亮さんは今、最も注目される俳優のひとりだ。そして池松さんは、大のクルマ好きとしても知られる。 「そんなに詳しいわけではありませんが、クルマは好きです。これは完全に父の影響だと思います。父はとてもクルマが好きで、幼少期からこれまで色々な車に乗せてもらってきたと思います」 ご尊父の影響か池松さんのクルマ選びもマニアックだ。W124型のメルセデス・ベンツ「230E」などを経て、現在はドイツ製SUVに乗っているという。池松さんがこのクルマを選んだ理由が興味深い。 「純粋なエンジン車に乗るのもこれが最後になるのかな……と、思いながら、今のクルマを選びました。次はハイブリッド車なのか電気自動車なのか、いずれにしてもモーターで駆動するクルマが候補になるかもしれません」 池松さんのリクエストを受け、『GQ JAPAN』編集部は池松さんが次に乗るクルマとして、4台の電動モデルをリコメンドした。最初に試乗したのは、ホンダの2代目「NSX」。2022年にこのクルマの生産は終わっているけれど、ホンダはまだ広報車両を保有している。池松さんにはぜひ、日本が誇るハイブリッドのスーパースポーツを経験してほしい、と、考えたのだ。 2代目のホンダNSXは、排気量3.5リッターのV型6気筒ターボエンジンをドライバーの背後に積むミッドシップのレイアウトで、フロントに左右2基のモーター、リヤに1基のモーターを配置するハイブリッド車だ。走り出した池松さんは、「静かですね」と、感心した様子を見せる。ダイナミックモードで「クワイエット」を選ぶと、可能な限りEV走行を行う。 ちなみにEV走行はフロントモーターが駆動している。リヤモーターの役割は、エンジンのアシストと減速時のエネルギー回生だ。 ここでダイナミックモードを「スポーツ」に、さらに「スポーツ+」に切り替えると、背後のV6ターボが“フォン!”と、存在感を主張する。 「これは楽しい! 出足が素晴らしいし、硬さもあるのに滑らかで、交差点を曲がるだけでうれしい気持ちになります。とても運転している気持ちになる。昔乗っていたポルシェ『911』を、思い出します……」 エンジンが苦手とする低回転域をモーターがアシストするから加速がいいこと、「スポーツ+」だとフロントの左右のモーターにトルクを配分するトルクベクタリングの効きが強まり、よく曲がるようになることなどを池松さんに伝える。 「なるほど、ハイブリッド車ってエコカーだと思っていましたが、よく走る楽しいクルマにもなるんですね」 もちろん、燃費を第一に考えるハイブリッド車も多い。けれども、まずモーター駆動の楽しさを味わっていただくために、あえてパフォーマンス優先のホンダNSXを用意した。池松さんは、モーター駆動に好ましい印象を抱いたようだ。