Google ChromeのサードパーティCookieの廃止 規制の流れと対策を解説
サードパーティCookieがブロックされるとできなくなる4つの代表例
サードパーティCookieがブロックされると何ができなくなるのか? 柳井氏は代表例として、以下の4つを挙げた。 1. サードパーティデータを活用したDMP 2. ブラウザの履歴を利用したオーディエンスターゲティング 3. リマーケティング/リターゲティング 4. ビュースルーコンバージョン計測
サードパーティCookieの廃止で上記のようなことができなくなるが、代替策はあるのだろうか。Google Chromeに限られるが、プライバシーを保護した状態でサードパーティCookieが担ってきた機能を実現できるよう、「Privacy Sandbox(プライバシーサンドボックス)」という新しい技術を提供予定だという。
サードパーティCookieという一つの機能が提供していたことを、いくつもの新機能を提供することで、できるかぎり代替しようとしている。
よくある疑問質問
Web担当者が一番気になるのは、サードバーティCookieの廃止で今行っている施策はどうなるのか、ということだろう。施策ごとに影響を確認していこう。 ■ [疑問(1)] リターゲティング広告はどうなる? 「自社サイトに来てこういう動きをした人に、外で広告を当てる」というリターゲティングは、今と同じかたちではできなくなる。現在は配信条件で「このページまで見た人」など、細かく設定できたと思うが、それは難しくなり、基本的にはドメイン単位での指定となる。 ■ [疑問(2)] Google アナリティクス 4などでの分析はどうなる? 自社サイトの分析ツールではサードパーティCookieを使ってトラッキングをしているケースは少ないので、影響はほとんどない。 ■ [疑問(3)] DMPなどを用いた外部データとの突合はできる? ターゲティングの精度を高めるために、事業者の持つデータと外部データを突合して「このCookieを持っている人はこういう人」と性別や興味関心を推定することは、簡単にはできなくなる。 Cookie以外のメールアドレスや電話番号をキーにして、同様のことは実現可能だが、「オーディエンス拡張に利用して良い」という許諾を取る必要があり、既に取得しているメールアドレスをそのままでは使用できないので、かなりハードルが高いだろう。 ■ [疑問(4)] DSPを使って、ターゲティング配信はできる? Privacy Sandboxの技術を使って、サードパーティCookieを使わない形でのターゲティングはある程度できるようになる見込み。 ■ [疑問(5)] Facebook、Xなどメガプラットフォームでのターゲティング配信はできる? ユーザーのサービス登録時に電話番号やメールアドレスを取得し、マーケティングに利用するとあらかじめ告知しているため、影響は小さい。ただ、ターゲティング配信を行いたいとなった場合、今後、一部のサービスに配信場所が偏っていく可能性がある点は留意しておきたい。 ■ [疑問(6)] 自社サイト内でのCRM的な出し分けはできる? 自社サイト内でCookieなどの情報を使って、レコメンド情報の出し分けなどを行っている場合、利用するのはファーストパーティCookieなので、今後も利用できる。ただし、特にSafariではCookieの有効期限が短くなっている。たとえば、2週間後に再訪問するといったケースだと、出し分けができない場合があるので注意が必要だ。 ■ [疑問(7)] リスティング広告は? Google 広告の検索広告向けリマーケティング(RLSA)などのようなリターゲティングを併用したソリューションは影響を受けるが、純粋に検索キーワードに対して配信を行う範囲であれば影響を受けない。 ■ [疑問(8)] メディアを横断した配信制御はできる? 複数ドメインをまたいで、広告接触回数を制限するようなフリークエンシーコントロールはできなくなる。 また、柳井氏は注意点として、「ドメインを分けてサービス展開をしたいという方が多いが、一つの会社であれば、サービスや製品ごとにドメインを分けずに、サブドメインで分けた方がいい」と指摘する。サブドメインであれば、ファーストパーティCookieが使えるからだ。