分社した三菱電機モビリティ、「攻め」に転じる資本提携 2000万台超の市場に先手
三菱電機の自動車機器部門が分社・独立して4月に発足した三菱電機モビリティ。自動車機器事業の構造改革の一環として分社化した同社が、「攻め」に転じ始めた。23日には、ドライバーに起因する交通事故を防止するための運転支援システム「DMS」ソフトウエアを手掛ける豪シーイングマシーンズとの資本業務提携を発表。約78億円の出資を決めた。提携の狙いについて、経営企画ユニットの東田篤武経営企画部長に話を聞いた。 【関連写真】オーストラリアに本社を置くシーイング社 ――シーイング社に出資した狙いは。 東田部長 当社は、電動化/ADAS(先進運転支援システム)事業の拡大に力を入れている。DMSは日本でも高級車を中心に搭載が進んでおり、この10年で一気に拡大する市場とみている。先手を打っていくために出資した。 ――どういったシナジーを期待していますか。 東田部長 当社は、カメラとECU(車載用電子制御ユニット)で解析し、ドライバーがどういう状態で運転しているかなどを検知する生体検知に強みがある。一方、シーイング社は顔の向きや視線などを高精度で検出できる技術に強みがある。お互いの得意領域が分かれており、確実なシナジーを生めると考えている。 ――DMSの市場規模は。 東田部長 欧州では2026年から新車への搭載が義務化される。欧州に限らず、グローバルでこうした規制は広がり、DMSの搭載率は高まっていくだろう。 年間の新車販売台数はグローバルで8000万台から9000万台の規模となるが、25年にはそのうちの20%強にDMSが搭載されるとみている。35年には70%を超えるだろう。 ――今後の製品開発に向けた動きは。 東田部長 車載向けは時間がかかるため、すぐに新製品を開発できるわけではない。今後はシーイング社としっかり連携していき、技術領域の仕分けや効率的な開発に向けた取り組みを本格化させたいと思っている。
電波新聞社 報道本部