半導体の回路原版、露光時に防塵 次世代品の生産設備導入へ 年産5千枚 三井化学
三井化学が、半導体ウエハーに回路パターンを転写するのに必要なフォトマスクの防塵カバー「ペリクル」で、回路線幅の微細化で採用が拡大する次世代EUV(極端紫外線)露光対応の製造設備を岩国大竹工場(山口県和木町)に導入する。2025年12月の完工を予定。年産能力は5000枚を計画する。透過率の高いCNT(カーボンナノチューブ)ペリクルを早期に実用化し、半導体の高性能化と生産性向上につなげる狙いだ。 【関連写真】透過率の高いCNTペリクル 同社は、半導体の回路線幅の超微細化に対応し、次世代露光用CNTペリクルの開発を進めている。フォトマスクへの異物の付着を防ぐペリクルで、従来のシリコン系膜からCNT膜への材料革新を推進。25年度には透過率92%以上で耐光性にも優れる次世代EUVペリクルの事業化を目指す。26年度にはCNTペリクルの透過率を94%以上に引き上げる計画だ。 同社は、旭化成のペリクル事業を22年に取得し、三井化学EMS(宮崎県延岡市)を23年7月に発足。1984年にペリクルの販売を開始して以来、リーディングカンパニーとして市場で存在感を発揮してきた。 23年12月には、CNTペリクル研究のトップランナーであるベルギーの研究機関imec(アイメック)とEUV露光用のCNT膜を使用した次世代ペリクルの事業化に向けた戦略的パートナーシップ契約を締結。半導体露光装置最大手のオランダASMLを加えた3社連携を強化し、実用化を推進していた。
電波新聞社 報道本部