【連載】郷土菓子研究社・林周作の“世界のお菓子を巡る旅”Xmas Ver.|ホリデーシーズンを飾るドイツの定番「シュトーレン」
クリスマスは最高の贅沢をする日。バターとスパイスをふんだんに使った『シュトーレン』
アルザス地方に滞在していた時期は老舗『Patisserie Jacques(パティスリージャック)』で働いていたという林さん。昔ながらのレシピを守る店で、クリスマスからホリデーシーズンにかけては、多くの人が沢山のお菓子を買い付ける姿に、日本とは異なる感覚を覚えたそう。 林さん「キリスト教が昔から根付いている地域にとって、クリスマスはやっぱり特別なんだと肌で感じました。 シュトーレンは元々質素だったとお話しましたが、理由はカトリック教がバターやミルクの使用を禁止していたからだそうです。それが15世紀末に廃止され、より現代のレシピに近くなりました。特徴的なところはやっぱり、焼いた生地をバターに浸す工程です。なかなか日本人では思いつかない大胆さがありますよね。 ドライフルーツやナッツをたっぷり使い、バターもこれでもかというくらいしみ込ませていきます。せっかくのアドベントだから、とことん贅沢しようっていう気概があっていいですね。笑」
林さんの作るシュトーレンも本場に習って贅沢に。自身が惚れ込んだというイタリア産のドライフルイーツをラム酒に漬けこみ、ミックスナッツと一緒に生地に絡めます。その量なんと、生地の1/3以上! 食べるとカルダモンの香りが広がり、ドライフルーツや木の実がごろごろ。時間が経って発酵が進むとより芳醇な香りと、しっとりした食感が出てくるんだとか。おひとり様や他の物も食べたい人向けに小ぶりサイズになっています。
ナビゲーターはバックパックで世界中のお菓子を巡る菓子職人、林周作さん
現在世田谷区・三軒茶屋にある『JOURNEY(ジャーニー)』のオーナーシェフを勤める林さん。日本では珍しい世界各国の郷土菓子を専門に作る菓子職人です。自ら世界中をバックパックで巡って出会い感動した人と郷土菓子の数々。林さんはその時感じた美味しさを、現地の文化や環境、歴史と共に伝えたいと店を拠点に本やメディアを使って発信しています。 ドイツで林さんが面白いと感じたのは、ケーキの提供スタイルだったそう。多くのカフェでは、写真のようにフォークを刺した状態で運ばれてきます。