「大阪局の”ベタなつくり”が悪いほうに…」ドラマづくりのプロが分析する朝ドラ『おむすび』の行方
「『虎に翼』に比べて…」
「『虎に翼』に比べて雲泥の差で驚いています」という桜美林大学芸術文化学群教授で元テレビ東京ドラマプロデューサーの田淵俊彦氏。朝ドラ『おむすび』悪評の原因はどこにあるのか? 今後の挽回は期待できるのか? 「かなり辛口になるとは思いますが、ぜひ書いてみたいテーマです」ということで分析していただきます。 演技力が急成長&連ドラ出演も急増中…!橋本環奈が魅せた「美しすぎる純白ノースリーブドレス」姿 ◆気持ちが入らない…… 「連続テレビ小説」、愛称「朝ドラ」の第111作『おむすび』(NHK総合)が放送中だ。 本作は、平成元年生まれのヒロインが、栄養士として、人の心と未来を結んでいく“平成青春グラフィティ”である(NHK公式HPより)。主人公の米田結を演じるのは橋本環奈。第4週「うちとお姉ちゃん」では、結と「伝説のギャル」と言われた姉・歩との確執が描かれ、現在放送中の第5週「あの日のこと」では、その確執の原因となった9年前の出来事(阪神淡路大震災)が明らかになってきた。 しかし、私たち日本人にとっては重要なテーマを扱っているにもかかわらず、残念ながら気持ちが入らない。 それはなぜなのか。 ひとつには正直言って橋本の演技表現によるところが大きい。橋本にはどうしても「コメディ」や〝明るい〟イメージがある。そのイメージと泣き崩れる姿との間にギャップを感じるのは私だけではないだろう。橋本に阪神淡路大震災を背負わせるのは荷が重すぎる。 急に無理やり「社会問題」を入れ込んできたあたりにも、NHKの策略的な企てが見え隠れしてしまう。 ◆朝ドラの「ドラマツルギー」とは何か ここで確認しておきたいことがある。それは、「朝ドラのドラマツルギーとは何か」ということである。NHKのドラマにおいて、朝ドラは大河と並んで大きな役割を担っている。それは以下の3つであると私は分析している。 1_爽やかな朝を届ける 2_勇気と希望を与える 3_安心感を持たせる それらの役割を達成するために、どうしても作りや展開がワンパターンになりやすいというきらいがある。もちろん、毎回主人公の設定は違うだろうが、だいたいが〝明るく〟「若さ」と「活力」に満ち溢れている。 また運命に立ち向かう「ひたむきさ」と「エネルギー」を持っている。主人公のキャラはこの路線からは外せない。ストーリー上でいったんは挫折したりあきらめかけたりということがあっても、最終的にはそういった困難を乗り越えるという展開になっている。それは、朝という時間帯には「爽快感」が必須だからだ。この朝ドラのドラマツルギーに制作陣は悩まされ続けてきた。