見えないものを可視化するヨシロットン。その師と共に作品を振り返る
アートを通して見る、テックと人間、そして自然の新たな関係性。 11月、ギズモードはサイトやギズ屋台などのデザイン、小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』のカバーアートなどを手掛けるアートディレクター土井宏明と共に、アーティスト/アートディレクターYOSHIROTTENの個展「特別企画展 ヨシロットン展 FUTURE NATURE Ⅱ in Kagoshima」(12月8日まで開催中)の取材を行ないました。 【全画像をみる】見えないものを可視化するヨシロットン。その師と共に作品を振り返る 実は土井氏が主宰するデザイン会社ポジトロンは、YOSHIROTTEN氏がキャリア初期に在籍していた会社でもあるのです。 今回は本展の制作過程に迫った前回の記事に続き、今回はそこに展示されている作品群と土井氏のコメントを紹介します。
1.シルバーの石
展覧会会場に入ってすぐに出会う作品がこちら。 YOSHIROTTEN氏の趣味の一つである「石集め」を連想させる、「理想の石」をイメージして設計し、3Dプリンターで成形された作品です。 「展覧会テーマにも通じる、周辺の光を拾う造形を持つ理想の石をイメージして作った作品です。ここから展覧会の作品制作が始まりました」 by YOSIROTTEN
2. KIRINOSHIMA
デジタルとアナログを行き来する、何時間でも見ていられそうな作品。 本展制作にあたってYOSHIROTTEN氏が集めた、霧島の伝記や資料。1950年代の文献にあった霧島連山の写真からインスピレーションを受けて制作された作品がこちらです。 霧島の名前は、天孫降臨の神話に由来しています。天の浮橋から霧の海を見下ろすと、雲に浮かぶ島のようなものが見えたという伝承がその起源とされています。 「iPhoneで撮影した雲や地面から湧き出す煙の画像やらを組み合わせてできた作品です」 by YOSHIROTTEN
3. tranthrow
霧島の光をスキャンし、ビジュアル化した作品。 独自開発した分光器であらゆる場所の光を採集し、可視光線、赤外線、紫外線の値をグラフ化。それらを大胆にトリミングして加工した作品です。 左から<大浪池への道> 、<硫黄谷噴気地帯公園の雲>、<丸尾自然探勝路と湯気>、<夏の御手洗川>、 <青い千里ヶ滝>でのフィールドワークの成果。 土井コメント: 抽象的な作品は、想像力を働かせることができていいなと思っています。 tranthrowでは、実際に宇宙船で使用されるアルミハニカムが素材として使われています。 本物の持つマテリアルの強さ、僕も宇宙が好きだからそういった要素にも想像力が働かされてグッときました。