「プロ野球90年」ぺこぱ・松陰寺太勇さんのマリーンズ愛 「俺たちがついてるぜ」の横断幕を見て「かっけーな、ロッテファンやめんとこ」と思いました
マリンスタジアムからの帰りは駅まで歩いて15分ぐらいなんですけど、みんな歓喜に浸っているから、誰かがロッテの応援歌を歌ったらみんな集まってくるんですよ。みんなで歌って、ちょっと歩いちゃまた歌って、駅まで1時間ぐらいかかったのを覚えてます。 ▽幕張のファンタジスタ 僕も右バッターで、サードで眼鏡をかけていたので、初芝さんの打ち方をまねしたりしてました。人さし指を立てて構えて、ちょっと首を振るような仕草をまねした時期もありました。 初芝さんは「幕張のファンタジスタ」。守備を見ていてわくわくするんですよ。ファウルフライを捕りにいって、そのままスタンドに消えちゃったりとか、自分で自分のグラブを踏んでエラーしたりとか。ファーストでも、足を離すのが早すぎてセーフになったことがありました。 でもバッティングは本物。当時、右バッターであれだけホームランを打てるロッテの選手はいなかったので、初芝さんが打席に入ると期待しました。松坂大輔からホームランを打ったのも覚えています。試合前の打撃練習をレフトスタンドから見ていると、初芝さんの打球が一番飛んできました。 やっぱり、プレーオフの奇跡のサードゴロですね。1点差で負けてて、あと2回しか攻撃がなくて、前の回にファインプレーをした早坂に代わって先頭打者で出てきた。当時、既に引退を発表していたんです。それまで弱いロッテを支えてきた初芝さんが、あそこで代打で出てきて、何でもないサードゴロが内野安打になったところから日本一に上り詰めた。ただのサードゴロですからね。やっぱり幕張のファンタジスタ。
▽ロッテファンいるからね プロ野球がなかったら、俺を形成しているもののうち7割ぐらいがすっからかんじゃないかな。野球がなくなったら、何を目標にやっていけばいいのかなっていうくらい。ロッテが勝っているのかどうかの速報を見るときが、1日のうちで一番心拍数が上がります。負けていたらへこむから収録の合間には見ない方がいいんですけど、見ちゃいますね。収録が終わって「どうせそのまま負けたんだろうな」と思いながら見たら勝っていたときがやばいですね。そこが一番楽しい。 映画やコンサートやテーマパークは、行けば楽しい時間が確約されている。でもプロ野球って最低の試合を見せられることもあるわけですよ。行けば絶対楽しいわけじゃない。なのにこれだけお客さんが来るのは、いい試合だった時の充実感には何も勝てないからじゃないですかね。行ってみないと、楽しいか楽しくないか分からない。だからやめられないんじゃないかな。
ロッテにはもちろん優勝してほしいし、常勝軍団になってほしいですけど、プロ野球界の「センター」でないことは自覚している。でも見ていてわくわくするチームというか、読めないチームなので、プロ野球界の中で「ロッテならそういうことがあっても変じゃないな」というような、くせ者的な球団であってほしいなと思います。 「ロッテファンです」と言うと「なんでロッテなんですか」という返しが必ずあるんですよ。そろそろ、それがまあまあ失礼だってことに気付いてほしいですね(笑)。いるからね、ロッテファン。ちゃんとね。