「プロ野球90年」ぺこぱ・松陰寺太勇さんのマリーンズ愛 「俺たちがついてるぜ」の横断幕を見て「かっけーな、ロッテファンやめんとこ」と思いました
連勝して王手をかけて、9回に4点リードで絶対的守護神の小林雅英が出てきた。「もう勝ったやろ」と思ったし、ビールの売り子の人は最後の瞬間はみんなで乾杯しようとただでビールを配り始めたんですけど、どんどん打たれて延長でサヨナラ負けしたんです。みんなビール持ったままなんですよ。乾杯しそこねて、そのうちに雨まで降ってきちゃって、今までで一番味がしないビールでしたね。 連敗で2勝2敗になって第5戦。当時付き合っていて僕が無理やりロッテファンにした彼女と、段ボールに白テープを貼って黒字で「優勝」と書いたボードをつくって千葉マリンに行きました。 リードを許す展開だったんですが、7回に絶体絶命のピンチでライト前に抜けそうな当たりをセカンドの早坂圭介が超ファインプレー。追加点を阻止して、8回表に初芝清が代打で出てきた。外の球を引っかけてゴロを打ったら、サードとショートがぶつかって内野安打になり、福浦和也がヒットでつないで1、2塁。
ここでサブローが強攻策でファウルフライに倒れた。送りバントかなというところで凡退して1アウトになって、「うわ、これでゲッツーで終わりやろな」と沈みかけると、パブリックビューイング越しに、福岡ドームのレフトスタンドから一番盛り上がるチャンステーマが流れるのが聞こえてきたんです。「あ、福岡のファンはまだまだ諦めてねえぞ。俺らがここでちょっとでもネガティブな感情を持ったらだめだ」と思ったら、里崎智也が初球を左中間へ持っていった。当時まだビジョンが大きくなかったので、打球はよく見えないんですけど、外野手が2人ともフェンスの方を向いていたので「外野は越えたんや」と。フェンス直撃のタイムリー二塁打で、ランナーが2人とも帰ってきた。 みんな「うわー」って盛り上がって、泣いているお客さんもいて、ぱっと見たら彼女も泣いてました。俺も泣きたかったんだけど、逆転負けの試合から流れが悪かったから、「この内野席を俺が統率せな」みたいな変な感情が湧いてきて、「まだ終わってないから。1点勝ってるだけだから」ってみんなに言い聞かせてました。 9回に小林雅英が出てきて、その時は売り子さんもビール配らなかったですね。ベンチの選手も、逆転負けの時は4点差があったから胴上げに備えて前のめりだったんですけど、この試合ではみんな深く腰かけてた。「学んでるわ。選手もファンも」と思いました。フォアボールでランナーは出したんですけど、2アウトになって最後のバッターは川崎宗則。詰まったフライが上がって、レフトが捕った瞬間に大号泣でみんなとハイタッチ。「優勝」って書いたボードを出して、歓喜の歌を歌ったら、翌日の東京中日スポーツに写真が載ってました。