ユニチカ、繊維事業撤退 三菱UFJ銀など300億円債権放棄へ 官民ファンド出資
ユニチカが繊維事業から撤退することが28日、分かった。同社は繊維事業が円安の影響などもあって低迷し、2025年3月期連結決算は2期連続の最終赤字を見込む。経営再建に向けて三菱UFJ銀行などが300億~400億円規模の債権放棄に応じる方向で、官民ファンドが出資して筆頭株主となる。 【写真】明治33年に完成した尼崎紡績の本社事務所 ユニチカは同日、「繊維事業のうち、不採算事業からの撤退などを検討していることは事実」と発表した。 関係者によると、祖業の繊維に加えて、不織布や産業繊維などの機能資材事業の一部からも撤退する。26年3月期にかけて事業の売却先を探す。取引行が債権放棄に合意後、官民ファンドの地域経済活性化支援機構(REVIC)が議決権付き優先株を約200億円で取得する方針。 成長事業としては、市場トップレベルのシェアを誇る食品包装用フィルムのほか、半導体関連の製品に力を入れることで収益性の改善を図る。 ユニチカの24年3月期連結決算の売上高1183億円のうち、繊維事業、不織布、産業繊維を合わせて全体の4割以上を占める。 同社は1889年に尼崎紡績として創業。1918年以降は大日本紡績として日本の繊維産業を牽引(けんいん)した。近年は中国企業との競争が激化する中で業績が低迷。2014年に繊維製品を手がける子会社の佐賀工場閉鎖を決めるなど、国内での生産を減らし、海外に生産を移転することでコスト削減を図っていた。(桑島浩任)