<連載> Reライフ山歩き部 日本山岳会が創立120周年記念事業で山岳古道調査 歴史や文化を感じる新しい山の楽しみ方 近藤幸夫のReライフ山歩き部 第25回
「文化や歴史を楽しめるのが山岳古道」
永田さんに山岳古道の魅力を聞くと、「単なる山道ではなく、文化や歴史を楽しめるのが山岳古道です」と言います。 例えば「梼原(ゆすはら)街道 韮ケ峠(にらがとうげ)」は、土佐(高知県)と伊予(愛媛県)を結ぶ重要な街道として古くから栄えた道です。 文久2(1862)年、幕末のヒーロー坂本龍馬が脱藩して通った道として知られています。 箱根旧街道は、東海道「箱根八里」と呼ばれる小田原、三島間を結ぶ全長32キロの山道です。途中、箱根峠(846メートル)を越える道は、江戸時代初期、徳川幕府によって整備され、明治時代まで多くの人に利用されました。石畳も多く、史跡や美しい景観に恵まれた山道として今もファンは多いそうです。
登山の世界では、山好きの作家深田久弥が著した「日本百名山」が有名です。現在も全山制覇を目標にする登山者は多いです。 永田さんは「山岳古道120選も百名山のように注目されるジャンルにしたい。登山者でなくても楽しめる平坦で易しいルートも多いので、歴史愛好家らもぜひ歩いてほしい」と話しています。 山岳古道の情報は「日本山岳会が選ぶ『日本の山岳古道120選』」(https://kodo.jac1.or.jp/)で随時、更新されています。歴史を彩る武士や偉人たちが歩んだ古道を、ぜひご自身の目で見て歩いてみてください。 注)写真はいずれも日本山岳会提供 注)熊野古道に関する説明については、三重県教育委員会のホームページ(https://www.pref.mie.lg.jp/BUNKAZAI/HP/sekaiisan/index.htm)を引用しました 近藤 幸夫(こんどう・ゆきお)山岳ジャーナリスト 1959年生まれ。信州大学農学部を卒業後、86年に朝日新聞社に入社。初任地の富山支局(現富山総局)で山岳取材をスタートする。大阪本社編集局運動部(現スポーツ部)に異動後、南極や北極、ヒマラヤなど海外取材を多数経験。2013年、東京本社編集局スポーツ部から長野総局に異動し、山岳専門記者として活動。山岳遭難や山小屋、ライチョウなど山を巡る話題をテーマに記事を執筆。2022年1月、フリーランスになる。日本山岳会、日本ヒマラヤ協会、日本山岳文化学会に所属。長野市在住。