【ブーム後の今、本当に求められているサウナとは?】重要なのは「事業計画づくり」 究極のサウナ村をイチから作ってみた
■サウナは豊かな時間を過ごすための手段でしかない
という状況を加味した上で、運営的なことを一旦度外視して「こんなサウナ施設があったらワクワクすっぞ!」という理想像を炙り出してみた。 1:自然の中の静かで神秘的なロケーションを完全1組限定で貸し切れる 2:時間は最低でも半日、ベストは1日ゆっくり過ごすことができる 3:なんなら薪を割るところからスタートしてもいい 4:サウナの熱源は肌あたりが柔らかく、癒し効果もある薪ストーブ一択 5:湿度は高めであり、かつ温度も好みに合わせて調整可能 6:自生ハーブロウリュなど、その場所じゃないと体感できないサービス 7:圧倒的な水質の天然水で、水温は年中15℃近辺の安定感ある川水風呂 8:サウナだけじゃない豊かな時間の過ごし方が提案されている 9:自分自身に意識を向け、ゆったりとした時間を過ごして心身をリセットできる 10:職場(街)や家とも違う第3の居場所(サードプレイス)である そう、これこそがシン・サウナ村が目指すべき理想像。そして僕らが選んだ場所は、それができる環境がバッチリ揃っていた。 そして、これら突き詰めていくと、僕らが本当に商品として売りたいもの、売るべきものは、サウナそのものではなく、「美しい自然の中で過ごす豊かな時間」だということにもはっきりと気づくことになったのである。 それはまさに、日常的で気軽なファストサウナではなく、多少単価が高くて行くのが面倒でも、わざわざ自然の中に出向いてでもゆっくり味わう非日常の「スローサウナ」ができる場所。僕らはそれが可能な場所と「豊かな時間」を売っていくと決めたのである。
■計画をビジュアル化して解像度を高めていく
導き出された指標をもとに、よりイメージを具体化していった。同時に理想の村建設にかかる費用や、予想されるランニングコストを算出し、売上計画も立てていく。この辺りもしっかり考慮していかないと、どんなに理想的な場所を作っても持続・発展させていくことは不可能だ(正直一番苦手な部分……。今でも、毎日頭から煙を出しながら、何度も修正し続けている)。 これで計画の大枠は決まったが、本当に大変なのはここからだった。 サウナ村を建設するにあたっての「法的な確認作業(建築基準法、河川法、公衆浴場法)」と、「資金調達」という、ビッグ2との戦いが始まるのである。基本的に僕は「アホで金なし、あるのは情熱と夢だけ!」みたいな男なので、この戦いが一番ハードだった気がする。そのあたりのお話は、また次回以降に。 何はともあれ、これを書いている本日(12月27日)、ついに積雪が始まってしまった。とうとうやってきた冬将軍。春のプレオープンまでに、どこまで村を作り上げることができるだろうか? やることはまだまだたくさんあるが、とにかく今は、やれることを愚直にコツコツと! う~寒い!! ユーコンカワイ(ゆーこんかわい) アウトドアライター、グラフィックデザイナー、イラストレーター、サウナ・スパプロフェッショナル、サウナ・スパ健康士、日本テントサウナ安全協会員。山旅や川旅、地域資源×地方創生をテーマに数多くの記事を執筆する一方、岐阜県山県市の限界集落において「足るを知る豊かさ」を提唱し、持続可能な町おこし事業も展開している。合同会社タキビデザイン代表。 @yukonkawai
ユーコンカワイ