深刻な非正規問題 東京都が若者の「正社員化」促進へ本腰
都立の職能開発センターや給付金制度
しかし、東京都が若者の正社員化を支援しているとはいえ、資格や技能などがなければ企業側もなかなか採用してくれません。若年者が技能を身につけたいと思っていても、非正規雇用のままでは得られる賃金も少なく日々の生活に精一杯です。学校に通うための学費などを捻出する余裕はありません。そうした人たちはどうしたらいいのでしょうか? 「働くための資格を取りたい、技能を身につけたいと希望する就労者を対象に、東京都は都立職業能力開発センターを設置しています。現在、都立職業能力開発センターは14校あり(うち1校は障害者専用校)、無料の講座もたくさんあります。また、通学したくても、生活費を稼ぐアルバイトを辞めることはできないという方もいるでしょう。そうした経済的な事情を抱えた方には、月10万円を支給する給付金制度もあります」(同) 都立職業能力開発センターは、必ずしも若年層だけを対象にした施設ではありませんが、若年層を積極的に受け入れています。また、都立職業能力開発センターはハローワークと連携しているので、修了者に就職を斡旋しています。技能や知識を身につけた後、すぐに働くこともできるのです。
社会が多様化しているので働き方は多様化しています。正規雇用が必ずしも是とされる時代ではなくなりました。それでも安定した生活のために正規雇用を希望する人は少なくありません。 正社員化を後押しする行政の取り組みは、まだ周知されているとは言い難い状況です。しかし、企業が成長するためにも、労働者が充実した生活を送るためにも、正社員化は欠かせません。それだけに、今後のTOKYO正社員化促進計画の動向は注目されることでしょう。 (小川裕夫=フリーランスライター) ・「TOKYO 正社員化促進計画」(東京都)