【ラグビー】違いを作る人。國學院栃木・福田恒秀道は「仲間を活かすプレーができてよかった」。
名はつねひでみちと読む。福田恒秀道は、違いを作るラグビー選手だ。 堅守で鳴らす國學院栃木にあって、攻めにアクセントを生む。 小刻みなフットワークで防御を引き寄せたり、突破をすると見せかけ空いたスペースに球を動かしたり。身長170センチ、体重75キロと決して大柄ではないが、相手の裏をかいて局面を打開する。 2年生にしてこの冬2度目となる全国大会のさなか、会場の東大阪市花園ラグビー場で本人は言う。 「去年、自分で(ボールを持って)行くことしか(選択肢が)なくて、止められることがあった。この1年間、(バリエーションをつけるよう)練習してきた」 1月1日、京都工学院との3回戦では鋭いランニングで先制点をおぜん立てした。 「仲間を活かすプレーができてよかったです」 要所では自陣ゴールエリアでトライセーブも決めた。「とにかく必死」。21-5で制した。 続く3日の準々決勝でも、相手の死角をえぐるラインブレイクでスコアを演出した。互いにタフに守り合うなか、穴場へのキックでチャンスの糸口を探りもした。 接戦の末、石見智翠館を12-0と完封で下した。準優勝した2021年度以来となる4強入りを果たした。 「今大会はしっかり優勝できるように、自分のアタック、ディフェンスを磨きたいです。またフィジカルの面でも、チームに貢献できるようにしていきたいです」 2学年上で現帝京大の兄・正武(せいぶ)を追う形で、栃木で寮生活を始めた。7人制ラグビーが好きだとあり、國學院栃木がセブンズの大会でも好成績を残しているのにも惹かれた。高校では1年時から主力となり、いまはセブンズユースアカデミー、17歳以下日本代表にもリストアップされている。 高校の吉岡航太郎コーチによれば、「成績優秀」。本人は苦笑する。 「まぁ、ちょっとだけ。はい。中学の時に勉強をしていたので」 幼少期は、早大OBの父・恒輝さんが所属した神奈川タマリバクラブに混ざった。社会人と戦ってきた経験が、現在のパフォーマンスに繋がっているという。 「大人の人たちとやる中、抜き合い、フィジカルの部分で勉強になりました。オフ・ザ・ボールの動きについても、大人から色んなことを学びました」 聡明で落ち着いている。今度のセミファイナルでは、昨季王者の桐蔭学園に挑む。 (文:向 風見也)