自民総裁選で注目された選択的夫婦別姓制度が公約で後回しになる理由 ジェンダー平等は争点化されにくい?各党の主張を読むポイントを聞く【衆院選2024】
賃金などの男女格差をなくし、多様性のある社会をつくるということが、多くの党の公約の中で見られます。ただそうした状況が生まれていることの原因を、社会の構造的な問題として、どれだけ捉えているのかなと疑問が湧きました。 「#Your Choice Project」では、首都圏以外に暮らす女子高校生は偏差値の高い大学への進学にメリットを感じにくい傾向があると調査、分析し、2023年に公表しました。地方で暮らす女子高校生は資格取得を重視する傾向があり、自己評価が低く、浪人を避ける安全志向も高かったです。どうしたらこうした状況を変えられるのかを考えてきました。 なぜ、多様性が大事なのか。多様性が担保されないと、意思決定のさまざまな場面で偏りがでてしまう。私たちの団体ではこう伝えてきました。その根本的な原因の一つが難関大の女性比率の低さにあると考えています。気になるのは、組織の女性比率について数値目標を立てて改善に努めようとしているかです。女性の議員数などの目標値を設けている党もありますが、企業などあらゆる場面で設定し、明らかにしてほしいと思いました。
公約で良いと思ったのは、ジェンダー教育の必要性に触れている部分です。私たちは大学がジェンダーステレオタイプや偏見をなくせる最後の砦だからこそ、大学の女性比率を上げるべきだと考えています。というのも、東大では首都圏の中高一貫男子校出身の学生が多く、同性に囲まれながら育ち、大学に入っても女性は少なく(2023年の東大の女子学生の割合は約25%)、男性の優位性を感じたまま社会に出てしまうという構造があるのではないかと思っています。 また東大生の母親は専業主婦の割合が高いとも言われており、女性のロールモデルが限定されている場合も少なくありません。そのため女性は家庭で、男性は外で働くみたいな感覚を持つのも無理はないと思います。 私自身も大学に入るまでは、ジェンダーステレオタイプに気付いていませんでした。例えば、今振り返ると、中学校の部活動の部長レベルでも「男子がリーダーになり、前に出る方がしっくりくる」という意識は根強く、「自分の出番じゃない」と考える女の子も多かったと思います。