自民総裁選で注目された選択的夫婦別姓制度が公約で後回しになる理由 ジェンダー平等は争点化されにくい?各党の主張を読むポイントを聞く【衆院選2024】
各政党の公約と同時に目を通してほしいのは、メディアが行う候補者アンケート。自民党の総裁選で、選択的夫婦別姓制度を巡ってはさまざまな主張があると分かったように、自民党議員の政策の幅はかなり広い。候補者個人を見ないと分かりません。ただ最近では、賛否を答えない「無回答議員」も目立っています。世論では賛成が高まっているのに、自民党の古くからの支持母体が「夫婦同姓」にこだわっているため、はっきりとした態度が取れない議員が増えています。こうした重要な問題では、ぜひどちらかはっきり答えてほしいと思います。 野党も含めて、各党の公約全体を見た時、ジェンダー平等や女性活躍に関する政策はどちらかというと後段に登場する傾向が共通しています。ジェンダーや多様性(社会の実現)という文脈からの議論も大変重要ですが、男女の賃金格差の問題は経済政策ですし、「年収の壁」は社会保障の問題です。女性の収入を上げることは結果的に少子化にもプラス効果が期待できます。そのようにトータルで見れば、ジェンダー平等は社会にとてもインパクトのあるイシュー(論点)になるはずです。
そういう点から見ると、どんな社会を望むのか、大きな視点で社会のグランドデザインを語っている政党はないように思います。 これから人口減少が長期にわたり進んでいく日本で、安心して働き、子どもを育て、老後を迎えられるようにするためには、たとえ国民にとって耳の痛い話であっても社会保障制度をどう変え、それなら女性はこういう働き方をできるようにする、といった形でブレイクダウンしていく(落とし込む)ような伝え方を本来はしていく必要があると思います。 × × × はまだ・けいこ 1966年、山口県生まれ。89年に朝日新聞社に入り、「AERA」編集長などを歴任。「ビジネスインサイダージャパン」の統括編集長を経てフリーに。著書に「働く女子と罪悪感」「男性中心企業の終焉」など。 ▽社会の構造が生む問題として考える 特定非営利活動法人(NPO法人)「#Your Choice Project」代表/Co-Founder 江森百花さん