データマネジメント投資は増加も人材不足が依然課題、インプレス「データマネジメントの実態と最新動向2025」
株式会社インプレスは25日、データマネジメントに関する調査結果を発表した。調査の詳細は、新産業調査レポート「データマネジメントの実態と最新動向2025」として発売した。 【画像】データマネジメントに関わる人材や組織の課題 データマネジメントとは、データを資源として、ビジネスに生かせる状態を継続的に維持し、進化させていくための組織的な営みを指す。昨今、社会全体のDXの流れや生成AIの普及を背景に、データマネジメントの重要性は高まっている。 レポートは、「データマネジメントの実態と最新動向」の第二弾となるもので、日本企業におけるデータマネジメントの取り組みの実態を、アンケート調査の結果をもとに分析し、現状を明らかにするほか、昨年との比較を行い、取り組みの進展具合を明らかにする。また、データマネジメントを高度化する製品・サービスについて、主要なベンダーへの取材をもとに、各社のビジネス動向や戦略を解説。データマネジメントにおける技術的・ビジネス的なトレンドを整理している。 IT投資予算に占めるデータマネジメントに関わる投資の割合を聞いた質問では、「5%未満」と回答した企業が最も多い36.6%で、昨年度の54.1%から17.5ポイント減少した。一方で、「10%以上、20%未満」が昨年の4.9%から8.5%に、「それ以上」が1.2%から2.0%にそれぞれ増加しており、データマネジメントの優先順位が徐々にではあるが底上げされてきていると分析している。 さらに、データマネジメントを推進する組織体制の整備状況に関しては、データマネジメントに関する人材や組織の課題として「データマネジメント専任の組織やチームを作れない」を上げた企業が、昨年度の47.4%から今年度は33.6%へと13.8ポイント減少しており、データマネジメント専任の体制が着実に作られ始めている兆しが見て取れると指摘。一方で、データマネジメントのスキルを持った人材が不足しているという課題は、解決されていないようだとしている。 生産現場のデータ(OTデータや製造IoTデータ)の利活用状況を製造業単独で見てみると、「システムは連携していないが、必要な都度、経営や生産以外の業務部門で生産現場のデータが活用されている」が最も多い35.6%で、もっぱら都度的な利用に終止しているようだとしている。 「生産現場のデータは、経営や生産以外の業務部門では全く活用されていない」または「生産現場のデータの活用状況がわからない」と回答した製造業は半数近くに上り、製造業における生産現場のデータ利活用は思うように進んでいない実態となった。製造業では保有するデータの種類が多く、複雑性も高いという困難な背景があるが、この結果からは生産現場のデータ利活用が「個々の工場の現場まかせ」になっていることが危惧されるとしている。 企業内におけるデータアーキテクチャの策定については、データアーキテクチャを策定済みと回答した企業は、「積極的に取り組み常にアップデートしている」が10.3%、「策定しているがアップデートまではしていない」を合わせても18.8%に過ぎなかった。ただし、昨年調査からは7.9ポイントと大きく増加している。 データアーキテクチャの策定には、経営および事業部門の知見が必要となるが、今回の調査でデータアーキテクチャの策定に事業部門の責任者またはメンバーが参画していると回答した企業は半数近くに上り、逆にIT部門のみで策定している企業は約3割にとどまっており、データアーキテクチャの策定へ参画する事業部門のウェイトが高くなってきたことが伺えるとしている。
クラウド Watch,三柳 英樹