城氏がコロンビア戦を分析「香川はまだ森保Jに融合できていない」
結果的に0-1で敗れたが、森保ジャパンはコンセプト通りのサッカーをやった。守備から攻撃、攻撃から守備の切り替えが早く、コロンビアのやりたいサッカーを消す時間帯が多かった。コロンビアは、ハメスもファルカオも来日していたし、新監督ケイロスの初陣。チームを作っている段階だが、選考される選手にとってはアピールの場で本気の勝負を挑んできた強豪と互角の戦いをしたことは評価できる。 今回の2試合組まれたキリンチャレンジカップのテーマは、準優勝に終わったアジア杯にいなかった復帰組と新戦力のチェックだろう。 注目の香川が森保ジャパンになって初招集され、後半19分に投入された。彼がトップ下に入り、中島、香川、堂安で2列目を形成してワントップには南野が入った。厳しい見方かもしれないが“融合”はできていなかった。香川の動き出しや感覚は良かったし、元々高い技術はある。だが、中島らリオ世代とのサッカー観の違いが露骨に浮き彫りになった。香川が入ることで洗練されつつある中盤の連携がぎこちなくなったのである。ワンテンポ遅れるのだ。 一人だけリズム感が違い、気づいた瞬間には、もうボールの出所がなくなっている。確かに香川にとって久々の代表であり、初のマッチングで、いきなり息を合わせることに無理はあった。しかも今までと違うのは、香川が引っ張るのではなく、香川が中島、堂安、南野らに合わせなければならないということ。ただ、香川には経験値があり人をはがす力がある。まずはリオ世代と一緒にピッチに立つ回数を増やすことだろう。香川自身が課題を修正してゆけば、融合することは十分に可能だし、それができれば、森保ジャパンに“香川で流れを変える”というオプションができる。おそらく26日の試合は先発で起用するのではないだろうか。 私が、この試合で評価したいのは、アジア杯を故障で欠場した中島だ。彼は臆することなくボールを持った瞬間にドリブルで仕掛けて、1枚をはがして、パスも出せるしフィニッシュまでもいける。そこに堂安、南野が瞬間的に阿吽の呼吸で反応して流動的に動く。森保ジャパンが誇る3人のハーモニーに好きなようにやられてコロンビアはてこずっていた。 ただ、途中からコロンビアが、中島にしっかりとマークをつけてからは、その守備戦術にはめられてしまい、なかなか崩せなくなった。格上に対しては、もっと2列目を使わないと崩してはいけない。“タメ”を作ることのできる大迫が真ん中にいなかったことも響いた。やはり大迫不在では、攻撃のバリエーションが限定されてしまう。