なぜリオ五輪金メダリストは号泣棄権したのか?
一方、ライバルの棄権を須崎が知ったのは取材陣からの質問によってだった。 「登坂さんがいないなかで代表になって世界選手権で優勝したので、次は登坂さんに勝って、本物のチャンピオンになりたいと思っていました。登坂さんはいませんが、残りの準決勝と決勝もしっかり勝ちます。6月の明治杯全日本選抜には登坂さんも復帰してくると思うので、そこでしっかり攻め続けて勝って、また世界チャンピオンになりたいです」 驚きが去らない表情のまま、自分の試合に集中すること、いつか登坂と直接、試合をした上で世界の金メダルをとりたいとの決意をあらためて口にした。 五輪金メダリストと世界チャンピオンによる代表争いが実現するのは、少し先になる。だがいま、過酷な、しかし観る者にとってはとても贅沢なライバル物語が、2020年東京五輪を前に始まろうとしている。 (文責・横森綾/フリーライター)