<ラグビー>サンウルブスは初参戦のスーパーラグビーで勝てるのか?
2月13日、愛知・豊田スタジアムである。世界最高クラスのリーグ戦であるスーパーラグビーに日本から参戦するサンウルブズが、開幕直前にあって唯一の実戦に臨んだ。相手は、東芝の監督を務める冨岡鉄平ヘッドコーチ(HC)が「僕の好きな選手、真剣勝負をする時に一緒にやりたい選手」を厳選したトップリーグ選抜だ。『FOR ALL チャリティーマッチ2016』と銘打たれたこのゲーム。相手方の真剣さもあって勝敗の行方も注目されたものの、結局はサンウルブズが52―24で大勝した。 フッカーの堀江翔太主将は、夏まで続く本番に向け「結果はどうであれ、すべて勝ちにいく」と宣言する。 「長いシーズンで、メンタル、スキルを常に毎試合、毎試合成長できるようにしていきたい。最初から白旗を上げるようなことは絶対にしない。常にチャレンジして、いいゲームをしていきたいですね」 昨季、スーパーラグビーの王者となったハイランダーズや準優勝のハリケーンズは、選手間における戦法の統一感で際立っていた。そんななかサンウルブズも、緻密さに活路を見出す。プロップの稲垣啓太は、この日のゲームを終えるやこう話していた。 「他のチームと比べても、頭は使っていますよ。他はもっと、単発でドン、ドンという感じです。サンウルブズに合流した外国人選手は、『なんだ、このストラクチャー(戦略)は?』『ここまで細かく落とし込むのか』と思ったでしょうね。きょうも、細かいところではいろいろと言いたくなる部分もあるけど、全体的には皆が理解度を高くやってくれていた。いいスタートにはなったんじゃないでしょうか」 ニュージーランド出身のマーク・ハメットHCが「どんなチームでも、結束力は必要」「(選手の意見も)聞いていきたい。一緒にやっていくことが重要」と強調するチームは、ここ1週間、愛知県内での合宿で攻守のシステムを共有した。 攻めては、過去の日本代表が使っていたシェイプ(複層的陣形)に似たフォーマットを採用。接点やパスの供給源の周りに人が集まっていたエディー・ジョーンズ前HC下の陣形に比べると、複数人のユニットが所定の距離感を保ってポジショニングしている印象だ。スタンドオフのトゥシ・ピシが軸となり、グラウンドの横幅を広く使った攻撃パターンを確立させたいという。この日は前半10分にあったフルバックのリアン・フィルヨーンのトライなど、意図通りであろう得点もあった。「戦略術は形になってきた」と堀江は言う。