<ラグビー>サンウルブスは初参戦のスーパーラグビーで勝てるのか?
もっとも、フォワードが密集近辺を突き続けるシーンについては、「フォワードを使い過ぎた。(プレーが動くなかで)もっとバックスとコミュニケーションを取っていきたい」と本番を見据えて反省。うまくいったプレーにも、反省点を見出す。それは「与えられた戦略術がどうしたらもっとよくなるかを考える」という、堀江の堀江らしい態度でもあった。 守っては稲垣がリーダーとなって、接点に人員を割き過ぎずに横幅の広い守備網を象るってゆく。 ちなみにこの午後は、交代選手同士の連携が災いしてか3トライを献上した。稲垣は「外(側に立つ選手)からのコール(守備の出方や人数調整についての声)を内(側に立つ選手)が伝える。その部分は上手くいっていなかった」と認めた。稲垣をはじめ、国内では堅守速攻で鳴らすパナソニック所属のメンバーは、「守備のコミュニケーションがキー」と強調する。組織の形成により時間がかかるからだろう。 ち密さは、自軍への目線だけではない。発足そのものが危ぶまれていた昨夏にチーム入りを決めた堀江主将は、「レベルズの経験上ですけど…」と話し、こう続けたものだ。 「スーパーラグビーのチームは、テストマッチ(国際間の真剣勝負に出る代表チーム)のような、むちゃくちゃ凄い分析をしているわけではない。結構、個々の能力でやっている部分がある。それに対して、(サンウルブズは)チームでやっていければいい」 スーパーラグビーには、ジャパンのリーチ マイケルを擁するチーフスのような分析の得意な集団がいる一方、個の力ありきでゲームを進めようとするチームもゼロではないという。 堀江はパナソニックの主将として、さらにはリーチがチーフスの分析方法を導入した日本代表の副将として、綿密な分析と意志統一をモットーとしてきた。自軍の戦術略の構築、相手への分析および対策…。スーパーラグビーでも、この2点で繊細さを発揮したいところだ。 強力な援軍もいる。パナソニックを陰から支えた田邉淳コーチがサンウルブズにも入閣予定で、すでに現場での指導を始めている。15歳から9年間、ニュージーランドで留学をしており、語学が堪能なだけではなく指揮官の母国への造詣も深い。13年度までパナソニックの現役選手だったこともあり、堀江は「僕のことも知ってくれているし、コーチとあって通訳の方とは違った感じでハマーさん(ハメットHC)とコミュニケーションを取ってくれる」と笑ったものだ。