<ラグビー>サンウルブスは初参戦のスーパーラグビーで勝てるのか?
もちろん、現実は甘くない。 「ほかのチームのプレシーズンゲームを観ていると…。現状では厳しいと思うんです。準備は遅れていますし。最初の年。ファンの方は、気持ちを据えて応援しましょう、という感じです」 言葉を選びながら正直に語るのは、トップリーグ選抜のスタンドオフだった大西将太郎である。今季限りで引退する豊田自動織機の大西は、大の海外ラグビーファンでも知られる元ジャパン戦士だ。具体的な選手名や現地報道を取り上げながらスーパーラグビーの展望を語るさまは、関係者の間では有名である。かような識者の見立てでは、「厳しい」との評価は免れないということだ。 強豪国のオーストラリアを本拠地とするレベルズも、新加入した2011年のシーズンを15チーム中15位で終えている。新参者は苦しむ傾向にあり、昨季そのレベルズでプレーしたプロップの稲垣啓太も、サンウルブズの一員としてのシーズンを「1年目から上手くいっているチームなんてありません。早く土台を作ることが大切です」と捉えている。 ハードルは他にもある。他の強豪には前年の12月からプレシーズンキャンプを始めるクラブもあるなか、サンウルブズは今月8日にようやく本格始動したところなのだ。 今季のスーパーラグビーには、18チームが参加。オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ1、2の4つのカンファレンスにわかれる。7月中旬までのリーグ戦が終わると、トーナメント形式のファイナルシリーズに進む。各カンファレンスの首位チームに加え、オーストラリアとニュージーランドのチームのなかから各カンファレンス首位以外の上位3チーム、南アフリカの2つのカンファレンスのなかから各カンファレンス首位以外の上位1チームがノックアウト方式で王座を争う。 サンウルブスの参加する南アフリカカンファレンス1には大型チームが多い。優勝3回のブルズが筆頭となり、試合の質を左右する肉弾戦で激しさを示してくる。昨秋のワールドカップイングランド大会では日本代表が南アフリカ代表を破っているが、その背景にはジャパンのち密な準備と、相手側の極端なばらつきがあった。サンウルブズが置かれた立場は、あの時のジャパンとは違う。