父の遺作寄贈、ゆのまち加賀に アナウンサー塚田誉さん 「市に協力を」遺志かなえ
●蒔絵パネル「旅立ち」 12月1日にオープンする北陸新幹線加賀温泉駅高架下のにぎわい交流施設「ゆのまち加賀」の待合室に、2020年12月に83歳で亡くなった漆芸作家塚田外志男さん=加賀市別所町=の遺作が展示される。長男でフリーアナウンサーの誉さん(61)が「約束しているから市に協力して作品を寄付してほしい」と話していた父の遺志をかなえ、加賀温泉郷の玄関口にふさわしい蒔絵(まきえ)パネル「旅立ち」を寄贈した。 【写真】北陸新幹線車両などを描いた漆芸パネルを贈る塚田外志男さん(左)=2015年3月 ●1日オープン 「旅立ち」は1997年制作の縦157センチ、横126・5センチ。卵の殻を細かく割り、破片を竹の棒を使って漆の上で組み合わせていく「卵殻(らんかく)」の技法で白い渡り鳥や白山連峰、手取川とみられる川の昼と夜、鳥の羽の背景に貝の螺鈿(らでん)で星空を描き、箔(はく)による朝焼けのような色合いで時の流れと旅を表現している。 誉さんによると、外志男さんは生前、「いい場所に作品を飾ってもらえるよう宮元(陸)市長と約束している。市から求められたら協力してほしい」と話していた。 外志男さんは2015年3月には北陸新幹線金沢開業を記念し、「錦繍蒔絵(きんしゅうまきえ)」と名付けた技法で新幹線車両や鶴仙渓、柴山潟を描いた漆芸パネルを市に寄贈した。今も市役所1階ホールに展示されている。 3月に北陸新幹線加賀温泉駅が開業した後、市からにぎわい交流施設に外志男さんの作品を展示したいとの要請を受け、誉さんが遺志をかなえて作品を寄贈することにした。 外志男さんは17年10月に工房の一部を改修し、アトリエギャラリー「漆廊(くろう)」を開設。昨年9月にテレビ金沢を定年退職した誉さんが改装し、今年4月にギャラリー併設のカフェ「漆廊」をオープンさせた。市側がギャラリーに展示されている約100点の中から、来場者アンケートでも人気の大作で、駅施設にぴったりの「旅立ち」を選んだ。 1日ににぎわい交流施設で行われるオープニングセレモニーで、誉さんに宮元市長から感謝状が贈られる。