デジタル化加速「行政の在り方もDX本格的に」 神奈川・黒岩知事 新春インタビュー
4期目の県政運営が続く黒岩祐治知事は、重要政策とする行政のデジタル化を加速させている。県民本位でのデジタルトランスフォーメーション(DX)の動きを着実に進める一方で、難題が山積する障害者施設の問題にも鋭く切り込む。少子高齢化など県に直面する課題も含め、今年の県政について展望を聞いた。(聞き手 小川寛太、山沢義徳) ■聖域なき断捨離 --令和7年が始まり、県政運営で最重点で取り組んでいくことは 「令和6年は『み~~んなDX!!』として、ありとあらゆる分野でデジタル化を進めてきた。今はまだ動き始めたくらい。行政の在り方そのものも、DXを進めていくということをもっと本格的にやっていきたい。『いのち輝くマグネット神奈川』の実現を目指す考えは、変わっていない。デジタルの力を入れて、仕事の質をどんどん変えていく」 --具体的には 「県庁の仕事では、断捨離をかなり進めてきた。DXを進めるにしても、従来型の仕事を捨てていかないと新しい仕事はできない。私からのメッセージとして『聖域なく断捨離していってください』と呼びかけて、動き始めてきた。ただ、基本は『県民目線のデジタル行政でやさしい社会の実現』ということに尽きると思っている。便利になればいいというものではない」 --共生社会の実現を目指しているが、障害者施設での問題が後を絶たない 「9年前に(45人が殺傷された)津久井やまゆり園での事件を経験し、二度と起こしてはいけないという中でともに生きる社会を目指してきた。変化は起き始めているが、相当根の深い問題だといわざるを得ない。今向き合っているのは、県が直営している中井やまゆり園。虐待はなくなってきたが、『医療の空白』というのが見えてきた。そこにメスを入れようとしている。今年は相当力を入れてやっていく」 --中井やまゆり園は8年度に独立行政法人への移行を目指している 「現状を変えて、正しい方向に持っていこうと思っている。医療の世界は非常に科学的なものが求められるが、福祉の世界は人間的な部分に頼っているところがある。そこに科学の目を入れて、対応できる人材も育てていくためには、今まで通りの施設の延長戦では無理。その改革の流れを止めるわけにはいかない。これは日本の障害者福祉全体の問題に違いないと思っている」 ■仮想コミュニティー