日本の近代住宅の“原型”を築いたモダニズムの傑作。土浦亀城邸が一般公開〈後編〉
工業化素材を用い、短期に合理的に作ることで、機能的で便利な住まいを多くの人が享受できることを目指した土浦邸は、現在の日本の住宅の原型を生んだと言える。土浦邸は、第二次世界大戦中も戦災を免れたこと、そして土浦亀城と土浦信子夫妻が、数え98歳で亡くなるまで60年もの間住み続けてきたことが奇跡となって、今、存在する。戦争がなければ、土浦の思い描いた日本の近代住宅はもっと早く実現したであろう。 土浦亀城 Tsuchiura Kameki つちうら・かめき/1897~1996 水戸生まれ。東京帝国大学工学部建築学科卒業後、妻の信子とともに渡米。フランク・ロイド・ライトに学び、帰国後、ライトとモダニズムの折衷的デザインを経て、純粋なモダニズムに到達する。平屋の初代土浦邸の後、現土浦邸をつくり、日本における“白い箱に大ガラス”のモダニズム住宅を確立する。 土浦亀城邸 復原・移築設計 建築:安田アトリエ 歴史考証:東工大山﨑鯛介研究室 居住技術研究所、 東工大安田幸一研究室(長沼徹他) 【⼀般公開概要】 ⼀般公開:⽉に2⽇・⽔曜、⼟曜を予定 1⽇2~3回のガイドツアーを実施予定 定員: 15名/回 観覧料:1,500円/⼈ BY KANAE HASEGAWA