確定申告が面倒……そんな場合でもふるさと納税は可能? 実は便利な制度がある!【FPが解説】
ふるさと納税をしてみたいけど、ルールがよく分からず不安……そんな人もいるかもしれません。今回は、編集部が設定した質問に、ファイナンシャルプランナーの川手康義が回答・解説します。 【TOP5】返礼品ジャンルの人気ランキング、「米・雑穀」を抑えた1位は? (今回のケース) 確定申告が面倒です。そのような場合でもふるさと納税ってできますか? (回答) 給与所得のみの会社員や公務員が年末調整を行っていて、ふるさと納税先が5自治体以内の場合、ワンストップ特例制度を利用すれば確定申告の必要はありません。この制度は「ワンストップ特例申請書」を自治体に送るだけで寄附金控除が受けられる、大変便利な制度です。 どういうことなのか、以下で詳しく解説します。
◆「ワンストップ特例制度」を利用すれば確定申告は不要です
ふるさと納税とは、全国の自治体に寄附を行うことで税金の控除が受けられる制度。寄附額のうち2000円を超える部分について、所得税と住民税から全額が控除される制度で(上限はあります)、さらに自治体から地域特産品などが返礼品として贈られてくるため、全国の特産品を楽しむこともできるのが魅力です。 税金の控除は基本的には確定申告をすることで受けられます。しかしながら、給与所得のみの会社員や公務員で、年末調整を行っている方は、「ワンストップ特例制度」を利用することで確定申告をせずとも自動的に控除が受けられます。なおワンストップ特例制度を利用するには、ふるさと納税を行う先が年間5自治体以内でなければなりません。 特例の利用には、寄附先の自治体に「ワンストップ特例申請書(正式名称/寄附金税額控除に係る申告特例申請書)」を送る必要があります。多くの自治体では、ふるさと納税を行うと申請書が送られてくるので、申請書に必要事項を記載すると共に、身分証明書の写しを添付し自治体に送付すればOKです。
◆利用しないほうがよい場合も
1点注意したいのが、寄附をした翌年の1月10日までに各自治体に届くように送付する必要があること。また、ワンストップ特例の適用後に確定申告が必要になる場合(医療費控除を行う場合など)は、ふるさと納税分も合わせて改めて申告する必要があり、ワンストップ特例は無効となります。そのため他の控除があり確定申告する予定の方は、初めからワンストップ特例制度は利用しないほうがよいでしょう。 ワンストップ特例制度のメリットは、確定申告の手間が省ける点です。申請書を送るだけのシンプルな手続きで寄附をした翌年の住民税が減額されるため、多くの人にとって利用しやすい点が最大のメリットです。一方、デメリットとしては、申請書の提出期限が翌年1月10日までに自治体必着であること、寄附先が5自治体を超えると適用できなくなること、が挙げられます。また、医療費控除など確定申告が必要な他の控除を受ける場合は、改めてふるさと納税も含めた申告が必要となる点にも注意が必要です。 この記事の筆者:川手 康義 元製薬企業MR(医薬情報担当者)のCFP・1級FP技能士。日本ファイナンシャルプランナーズ協会に所属しており、協会会員向けの研修会や一般の方へのセミナーの企画・運営に携わっている。
川手 康義