苦戦する米アルタビューティ 長期成長戦略では新店舗拡大、グローバル進出、ウェルネスに注力
具体的なカテゴリーに関しては、メイクやヘアのスキンケア化、Kビューティ、臨床研究や皮膚科学に基づいたドクターズスキンケア、縮毛ケアや頭皮ケアなどのスペシャルトリートメント、男性用フレグランスやボディーミストなどの主要なトレンドを注視している。
鍵を握るウェルネスカテゴリー
アルナウド最高マーチャンダイジング責任者によれば、同社にとってウェルネスは特に重要なカテゴリーだ。「ウェルネス市場は大きく、急速に成長している。23年には4000億ドル(約61兆6000億円)近くに達し、成長率は12%にも上った。今後その規模はスキンケアに匹敵するだろう」といい、「市場は細分化が進み、いまだこの分野で確立した小売業者は存在しない」ことからその座を狙う考えだ。サプリメントやセクシャルウェルネス、マインドフルネス、睡眠などのカテゴリーに注力する計画で、生理や更年期など女性のライフステージサポートにも商機を見いだす。
またソーシャルメディアでの存在感を高め、文化的関連性を推進するため、クリエイターとのつながりも強化している。「ソーシャルメディアの世界では関連性がなければ認知度を高めることはできない」とマトスCMO。さらに、最近では店舗体験の意義を再考し、ヘアケアやスキンケア、メイクアップサービスを通じて体験をより重視した店内イベントを増やしている。
アナリストの反応はさまざま
同社が発表した3カ年計画に対するアナリストの反応はまちまちで、大半は25年の見通しが緩和されたことに注目した。ニューヨークの金融機関、ウィリアム・ブレアのディラン・カーデン(Dylan Carden)=アナリストは、「見通しの緩和がビューティ市場の軟化の兆候なのか、それとも経営陣が達成可能な基準を設定しようとしているのかは不明だ」と懐疑的だ。米投資銀行TDコーウェンのオリバー・チェン(Oliver Chen)=シニア株式調査アナリストも「質の高い内容だが、課題は山積」といい、米投資会社ジェフリーズのアシュリー・ヘルガンズ(Ashley Helgans)=アナリストも「投資家は依然として疑問を抱えたまま遠ざかっている」と指摘する。
一方でキンベルCEOは強気な姿勢を崩していない。「ますます競争が激化する分野で、当社のビジネスモデルと実行力に自信を持っている。当社は美容と美容愛好家を知り尽くしており、あらゆる美を祝福し、サポートすることに全力を注いでいく」と話した。