苦戦する米アルタビューティ 長期成長戦略では新店舗拡大、グローバル進出、ウェルネスに注力
25年には、中南米を拠点とするグローバルブランド流通企業のグルーポ・アクソとの提携により、初のメキシコへの進出も予定している。キンベルCEOは、「メキシコのビューティ市場は非常に好調で、当社はすでに高い認知度を得ている。長期的には100店舗に拡大していく」と期待を寄せる。28年までに“アルタ ビューティ・リワード”と称したロイヤルティ・クラブの会員数を4400万人から5000万人に増やすことを目指す中で、主要なターゲット層としてヒスパニック系の取り込みも重視している。
協業によりパーソナライゼーションを強化
ミシェル・クロッサン・マトス(Michelle Crossan Mattos)最高マーケティング責任者(CMO)は、アドビとの提携を発表した。顧客の行動データ分析を活用することで、より効果的で大規模なパーソナライゼーションを実現できるようになるという。「ロイヤルティ・クラブは当社のパーソナライゼーションにおける重要な柱だ。社内外からのシグナルに基づいてコンテンツをキュレートできるリアルタイムのパーソナライズエンジンを構築していく」。このエンジンにより、会員にアプリやウェブ上でのおすすめ表示やメールでのフォローアップが可能となり、リピート購入や満足度向上につながるフライホイール効果(組織が結束した時の力)を生み出すという。現在売り上げの95%は会員によるもので、会員の購入額は前年比11%で増加している。
さらにキンベルCEOによれば、店舗のみを利用する顧客がオンラインで買い物を開始すると購入額が2倍以上に増えるといい、現在売上高の約20%を占めるECのシェアは今後も増加すると見ている。「包括的なオムニチャネル体験の拡大に注力することが求められる。今後数年間は店舗よりもECが急速に成長すると予想されるが、目標は両チャネルの成長を促進することだ」。
成長を加速させるブランド戦略
そのために重要といえるのがブランド戦略だ。モニカ・アルナウド(Monica Arnaudo)最高マーチャンダイジング責任者は、「すでに確立された既存ブランドと新興ブランド、専売ブランドに焦点を当て、収益の20~30%をけん引している新しさと独占性に重点を置く」と述べる。現在600の取り扱いブランドのうち約40が独占契約だ。「当社には、専売ブランドをサポートし、育ててきた歴史がある。資金面やバンドウィズ(新しいビジネスに取り組める余裕)の面でも、同分野をさらに拡大し、投資する機会があると考えている」と明かす。