「表現の不自由展」中止問題 参加アーティストが会見(全文2)自主規制が日常的に起きている
政治的なイベントにしてはならない
ART iT:現代美術を扱う『ART iT』マガジンの【ラチ 00:52:25】と申します。最初の小泉さんの話の中で3つの大きな方針があると。その1つはネゴシエーション、もう1つはオーディエンスですかね。3つ目にプロトコルを挙げていたんですけれども、その点についてもう少し詳しく聞かせていただけますでしょうか。 通訳:プロトコルだけに。 ART iT:はい。 卯城:プロトコルについてアーティストの藤井さん、ちょっとお願いしたいんです。 藤井:私のほうから表現の自由に関するあいち宣言、プロトコルについてアーティストという立場からお話をさせていただきます。すでに報道されているよう大村知事は各政府や世界に対して表現の自由をアピールするあいち宣言、プロトコルの発表を提案しています。ここでまず私たちが警戒しなければいけないのは、これを政治的なイベントにしてはならないということです。 私たちは知っています。数ある政治家たちが自分が同意しない世界観や歴史観を沈黙させるために、あいちトリエンナーレに出品された論争的な作品たちの展示中止を求め、自らの存在を大衆にアピールしたということを。その者たちが日本国民の心を踏みにじったと言及することからも分かるように、今日の政治家たちは感情を政治技術として取り込み、実質的に感情的な反応が大きいほど利得を上げるのです。憎悪や排斥の感情を政治的資源とする現代の民族主義的ポピュリズム政治が芸術を制御しているというのが今の状況です。あいちトリエンナーレが現在、置かれている事態は世界の各地で権威となっている新たな政体と関連づけられた検閲の問題であり、現在進行形の警戒が必要な極めてグローバルな問題です。 【書き起こし】「表現の不自由展」中止問題 参加アーティストが会見 全文3に続く