「寝台列車」本格復活のカギは出張? 「ホテル高騰時代」に光る新たな魅力、コスト削減と快適性で注目か
ビジネス列車の新時代
仕事やプライバシーの保護、疲れにくさといった観点から見ると、サンライズのノビノビ座席程度では十分な人気が出ない可能性があると考えられる。やはり、サンライズの 「B寝台個室ソロ」 のような部屋が多くを占める、ビジネスサポート型の夜行列車にこそ可能性があるのではないか。 パソコンを使った仕事、休息、睡眠という三つのニーズを満たすことを考慮すれば、個室ソロを中心とした車両が、かつて人気を集めた急行銀河のようなビジネスサポート型の夜行列車になるだろう。もちろん、そのような夜行列車は観光目的の利用者にも喜ばれるはずだ。 しかし、寝台列車の運行にはJR各社の協力が不可欠であり、運行管理やコスト面などで課題が多いため、現状では運行しない方がよいという意見もある。正確なデータはないが、現代の技術でサンライズの代替編成を製造すると、1編成7連で 「50億円」 はかかると予想される。電車の減価償却期間は13年で、特定の利用形態においては 「30~35年」 の運用を見込んで設計されているため、維持や更新のコストも考慮しなければならない。現在のサンライズの価格を下げることは難しいだろう。需要と供給を考慮すると、サンライズと同等、もしくは 「1.1倍程度の価格帯」 が妥当だと思われる。 ビジネスユーザーにとっては、出張費用を節約できるうえに、夜行バスとは異なり、横になりながら移動できる寝台列車の復活を期待してしまうのも無理はない。サンライズも、ブルートレインを超えるエポックメーキングな存在となった。長期的な鉄道の維持と成長戦略として、寝台列車を 「ひとつの選択肢」 として位置付けておきたい。
北條慶太(交通経済ライター)