「寝台列車」本格復活のカギは出張? 「ホテル高騰時代」に光る新たな魅力、コスト削減と快適性で注目か
インバウンド需要で宿代高騰
宿泊費の上限を超えて「差額を自腹で払った」といった投稿もSNSで見かける。ほかには 「ホテル代が異常に高い」 「朝食代は自腹」 「日帰りでないと無理」 「出張宿泊費の上限を変更してほしい」 といった声が多い。例えば、東京から大阪への1泊2日の出張では、のぞみ号を利用した場合、往復運賃は 「2万7740円」(所要時間2時間30分、走行距離556.4km) となる。ホテル代1泊朝食付きの上限額は税込み1万円、日当2日間6000円で、合計支給額は4万3740円となる。 一方、サンライズを利用する場合、東京~大阪間では、「ノビノビ座席」で運賃と指定席特急料金を合わせた片道の合計が1万2400円、B寝台個室ソロの片道合計が1万8470円(運賃8910円、特急料金2960円、B寝台料金6600円)、B寝台個室シングルは1万9570円(運賃8910円、特急料金2960円、B寝台料金7700円)となる。新幹線代とホテル代を合わせた金額は寝台特急の料金よりも高く、 「片道を寝台列車」 にすれば日当を抑えることができ、職場側にもメリットがある。 宿泊代金や日当の抑制という職場側のメリットに加え、 「移動しながら睡眠を取れる」 という出張者側のメリットもあり、夜行列車はビジネスパーソンにも有益だと考えられる。かつて東海道本線の急行銀河号は「ビジネス急行」とも呼ばれていたが、現代のビジネスサポートという観点からも夜行列車には意味があるのではないか。
夜行バスvs寝台列車
夜行バスは、コロナ禍を経て需要が戻りつつあり、路線の再開も進んでいる。宿泊代を抑えられるのは職場側にとってメリットがあり、出張者側は移動中に睡眠が取れるため、労使双方にとってメリットがある。 東京~大阪間には多くの夜行バスが運行されており、少しの自腹で特別シートを利用するビジネスパーソンも増えている。また、プライベートの夜の時間をバスの車内で過ごすことも一般的になってきた。 筆者の周囲にも、中小企業の部長以上やフリーランスなど、夜行バスをビジネスで愛用している人が少なくない。時間とお金を有効に使えるため、夜間移動には大きなメリットがある。 ただし、関東バス(東京都中野区)などのドリームスリーパーが登場した際にも話題になったが、 「完全に横になれるベッド形式のバス」 は、 ・道路運送法 ・道路運送車両法 の制約により成立しない。この点を考慮すれば、完全に横になれる寝台列車がビジネスユースに向いているともいえる。今後、夜行バスの愛用者を寝台列車にシフトさせるためには、市場調査が必要だろう。