親が認知症になると、親のお金は使えない!? 対処法は? 漫画「教えて! ソーゾク博士」
認知症になると、相続にも影響する
親が認知症になると、遺言書を作成することができなくなります。 認知症の症状が進行してから、青治さんが慌てて遺言書を作成したとしても「遺言するのに必要な判断能力が低下した状態」とみなされる恐れがあります。桃ちゃんに有利な遺言内容だった場合、「この遺言書は、お父さんが認知症のときに作成されたから無効だ」と、桃ちゃんの兄・葉介さん(30代)が訴えるかもしれません。 このような状況で裁判になっても、葉介さんが青治さんの認知症だった証拠を示すことができなければ、遺言書が無効とされることはないでしょう。とはいえ、争いの種はなくしておきたいので、元気なうちに遺言書を作成するのが大事です。 また、認知症になった青治さんが財産をもらう側(相続人)となる場合にも問題が生じます。亡くなった人の遺言書がない場合、遺産の分け方を相続人全員で話し合って合意する必要があるのですが、認知症の人がいると、その合意が無効になってしまうためです。
成年後見や家族信託も検討を
「認知症になる前に、お父さんに遺言書を作成してもらう大切さはわかったけど・・・」と桃ちゃん。遺言書は亡くなった後の話なので、認知症の親が生きている間に、親のお金を介護のために安心して使うことができる方法を知りたいと思っています。 すると、「成年後見や家族信託などを活用する手があります」とソーゾク博士。聞き慣れない言葉に、桃ちゃんの頭には「はてなマーク」が浮かび、ぽかんとしています。 「成年後見」とは認知症などで判断能力がない人をサポートする制度です。万が一、青治さんが認知症となって口座が凍結されてしまった場合でも、成年後見人が、青治さん名義のお金を管理できるようになります。 ただし、成年後見人が誰になるかは家庭裁判所が決めるため、桃ちゃんが手を挙げても必ず成年後見人になれるとは限りません。また、青治さんの財産を現状維持することが原則となるため、損害が生じるような資産運用や生前贈与のような使い方はできません。 成年後見は認知症になってからの対処ですが、青治さんが元気なうちに資産凍結リスクに備えることもできます。 その一つの方法が、「家族信託」です。 家族信託は、あらかじめ自分の預金や不動産を信頼できる家族に託し、認知症になった後の管理・処分を任せることができる仕組みです。 朝日家の場合、青治さんが「自分が認知症になったら、桃ちゃんに財産の管理を任せる」といった契約を桃ちゃんと結ぶことができます。成年後見ではできなかった資産運用や生前贈与を桃ちゃんに任せることも、契約内容によっては可能です。