「おいしいけど、売れへんのちゃうか」→年間2000万個を売るヒット商品に! ブレイク中のQBB「チーズデザート」は、ひとりの女性社員の“情熱”の成果だった!
■年間2000万個を突破する、お化けヒット商品 もちろん、他社でもカップ入りのレアチーズケーキや、クリームチーズのフルーツ味などは出している。だが、6Pチーズのスタイルで販売しているのはQBBと、追随したもう1社のみ。その手軽さは、他社とは一線を画している。 それを証明するように、チーズを使ったデザートの市場の売り上げは、QBBが8割を占めている。競合は、チーズのデザートではなく、アイスやケーキだと位置づけているそうだ。
そんなチーズデザートが誕生したのは2009年のこと。発売後すぐさま人気に火がつき、ここ5年で売り上げは1.6倍に成長した。2021年には、年間2000万個の出荷数を突破し、同社の屋台骨を担いうる商品になりつつある。 このチーズデザートシリーズ誕生の裏には、片山和子さんという、一人の女性開発者の情熱があった。 六甲バターがはじめてデザート事業を開始したのは1982年。カップ入りの「レアチーズケーキ」を発売したのが皮切りだ。非常に評判となり、当時学生だった片山さんはこのデザートのとりこになったそうだ。そして、「自分もぜひ開発に関わりたい」と、大学卒業後に六甲バターの門を叩く。最終面接では自らチーズケーキを焼き、役員たちに「食べてください」と配ったというからその熱意たるや。
「ちょっと変わった子やけど、面白いなあ」 役員たちをそう唸らせたという逸話は、今も社内で語り継がれている。 強い熱意を買われて入社した片山さんは、1988年、レアチーズチルドデザートの後発として誕生したカップデザート、「ベイクドチーズケーキ」の開発に携わる。2007年には改良版を発売し、売れ行きは順調。夢が叶った瞬間だった。 ところがその矢先、青天の霹靂となる出来事が起こる。社内的な事情で、デザートの販売が一旦ストップしてしまったのだ。そして間もなく、カップ入りデザート事業からの撤退が決定した。