150キロ中盤連発の西武3年目剛腕が低迷するチームの起爆剤になる!? ケガがちの高校時代から見事な3年間の成長曲線【主筆・河嶋宗一コラム『グラカンvol.37』】
プロ1年目から右肩上がりの成長 来年は先発ローテーション入りを!
この投球が夏の西東京大会でできれば、上位指名は確実と思った矢先、羽田投手は再びヒジを痛めてしまいます。夏の大会では未登板に終わり、その後も治療を続けていたといいます。実質、プレーできたのは春まで。それでも西武は将来性を高く評価し、4位で羽田投手を指名したのです。 西武は段階を追って羽田投手を育成しています。1年目は無理をせず、二軍で5試合登板のみ。トレーニングの甲斐あってかプロらしい体になり、150キロ台を投げるまでになっていました。2年目は二軍で29.1回を投げ、28奪三振。防御率2.15と先発として経験を積んで、3年目の飛躍を期待されていました。今季は二軍ローテーション入りして、しっかりと先発投手としての経験を重ねるシーズン。二軍では13試合中、11試合先発し、防御率1.98、6勝2敗、59回を投げて58奪三振。投球回も増えて、5月3日のオイシックス新潟戦で完封勝利を上げ、長いイニングを投げられるスタミナも身についていました。 5月14日の日本ハム戦ではプロ初登板。1回を無失点に抑えました。7月2日のソフトバンク戦ではプロ初先発。3回を投げて2失点と苦しい内容でした。それから2ヶ月間、二軍で腕を磨いた羽田投手は今月14日のロッテ戦で2度目の先発。この日はいつも以上にストレートがまとまっており、常時150キロ台中盤のストレートでファールを打たせながら、140キロ台のフォーク、130キロ台のスライダーで三振を奪う投球。5回105球を投げ6奪三振、1失点。負け投手となりましたが、来季以降に期待が持てる投球を見せてくれました。22日には3度目の先発が予定されています。 1年目は二軍で実戦登板、2年目は二軍で先発テスト、3年目は二軍で先発ローテーション入り、一軍でテスト先発と順調にステップアップしています。高校時代から期待されていたパワーピッチングを実現しており、この育成力は素晴らしいと思います。 最下位の西武ですが、先発左腕投手の顔ぶれは充実しており、今季8勝で155回を投げている隅田 知一郎投手(波佐見出身)、今季7勝で122回を投げている武内 夏暉投手(八幡南出身)の2人の左腕がいます。羽田投手も二軍の好成績、14日のロッテ戦の投球で、来季は開幕から先発ローテーションを争える立ち位置まできたかなと思います。 隅田投手、武内投手も総合力が非常に高い投手ですが、羽田投手はこの2人を上回る球速があり、パワーピッチングができます。かつて西武の左腕エースとして活躍した菊池 雄星投手(アストロズ)のような爆発力のあるピッチングが期待できると思います。来年はさらに階段を登って、ローテーション入り。いずれは投手タイトルを毎年狙える投手になることを期待しています。