「常識が通じない」「やる気も創意工夫も感じられない」Z世代の従業員が現場マネージャーを疲弊させてしまう理由とは
状況の変化
いったい何が起きているのだろうか。これまでの常識が通じない、期待通りに動いてくれない、失望したということだろうか。さまざまな現象が複雑に絡み合い、議論が起きる。コロナ禍以降、多くの世論調査や社会学的研究がおこなわれ、たくさんの意見や主張が登場した。ただ英米で語られるコンセプトはフランスの職場の実態にはそぐわないことが多い。「Quiet quitting(静かな退職」)」や「Lazy-Girl job(怠け者の仕事)」といったキーワードがいくら注目を集めようとも......。 その一方でこんなふうに考える人もいる、仕事は長年にわたって増え続け、プロセスが複雑化、エクセル表計算による管理が常態化してきた。そこから解放され、本来あるべき姿に戻った、この傾向は歓迎すべきだと。当の本人たちはどう思っているのだろう?IFOPの調査によると、全就労人口平均と比べ、若者層は仕事を楽しいと感じ(全体34%に対し若者43%)、誇りを持っている(30%に対し38%)。その一方で仕事をルーチンワーク(調査対象者の48%)、あるいは負担(21%)と感じている人も多い。
アメリカで広がるギャップ
サラリーマンとして働くならできるだけ多くのメリットを享受したいと思うのもある意味当然だ。「ニューヨークにオフィスをオープンさせるにあたり、私はスピーチをした。とても素晴らしい、感動的でパワフルなスピーチだったと自画自賛していたのだが、若い新入社員からの最初の質問は、社内のバスケットボール・クラブに補助金が出るかということだった」と不満そうにある仏大手メディア企業の社長は語った。同企業はその後アメリカから撤退した。アメリカでは正に世代間ギャップが広がり、30歳以下の従業員が解雇されるケースが相次いでいる。2023年9月、学生向けプラットフォームのintelligent.comは、966社に対し、最近採用した新卒社員について質問した。その結果、75%が不満と回答し、10社中6社が新卒者を解雇していた。その理由は、仕事をひとりで管理できないことや社会人意識の欠如だった。10人中9人の管理職が、若い新卒者は社会に出る前に仕事のマナー研修を受けるべきだと考えている。 テラ・ノヴァ財団と管理職雇用促進協会(Apec)がフランスで実施した大規模調査によれば、フランスの管理職もアメリカの管理職と同じように考えている。しかしながら、仏労働省の調査・研究・統計推進局(DARES)によれば、それが原因で解雇や退職が増えたことはないようだ。ただし、2024年第1四半期には解雇がわずかに増加した。またコロナ禍でロックダウンが始まり、経済危機となった際に30代以下の解雇が爆発的に増加した。