<高校野球>頂点の舞台でともに輝け やり投げで東京パラ目指す鳥取城北OB 第92回選抜高校野球
2012年以来のセンバツ出場を決めた鳥取城北。歓喜に沸く選手たちの姿を、特別な思いで受け止める同校OBがいる。やり投げで今夏の東京パラリンピック出場を目指す大阪市の政成晴輝さん(22)=コカ・コーラBJI。目の難病で野球から離れたが、別の競技で世界を目指す姿は後輩たちを鼓舞する。母校の快挙に「お互いに頂点の舞台で輝きたい」と気を引き締めた。 【写真特集】センバツ歴代21世紀枠出場校 「もっと腐っててもおかしくなかったが、前向きになれるきっかけを与えてくれた」。政成さんは鳥取城北時代の3年間を振り返る。合格後、目の病気であることが判明し、入学すらできないと思っていたが、山木博之監督(44)は涙を流しながら「できることをやったらいいんだ」と迎えた。1年の時は野球ができない悔しさから、真っ暗な3人部屋のベッドで「ずっと泣いていた」。転機は2年の春。「チームに必要とされていることを感じてほしい」と山木監督からノッカーを勧められた。最初は全くボールに当たらなかったが、きれいに打ち分けられるまでに上達し、1日2000~3000球打った。みんなと野球ができる実感が悔しさを和らげてくれた。3年時には夏の甲子園に出場し、アルプススタンドで太鼓をたたいて応援全体をまとめた。 野球部引退後、肩の強さを生かせるやり投げに出会った。「投げる動作は同じでも極めれば違った。力任せに投げることに限界があった」と試行錯誤を続ける。 昨年6月、鳥取城北を訪れ、野球部員らを前に「貫こうと思ったことをとことんやろう。僕は来年頑張るんで」と激励した。吉田貫汰主将は「障害がある人でも『好き』という気持ちがあればどんなしんどいこともできる。その気持ちを、自分たちも大切にしたい」と学んだ。 東京パラリンピックに出場するためのクラスで、海外選手を含む現在のランキングは13位。6位以内で出場に推薦されるため、3月の国際大会に照準を合わせる。山木監督は「パラリンピックに出るのは厳しい道のりだが、後輩たちが甲子園に出ることが支えになってくれたら」と期待を寄せつつ、甲子園では「ひるまず、おびえず戦いたい」と健闘を誓った。【小坂春乃、荻野公一】 ◇サイトで動画中継 公式サイト「センバツLIVE!」(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/)では、大会期間中の全31試合をライブ中継。「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/senbatsu/)でも展開します。デジタル紙面では出場決定号外も無料で配信しています。