【大学生活とお金】大自然に囲まれて バイトは「ブドウの集荷作業」、狩猟免許も取得
■学生生活 お金のリアル(長野県松本市)
北アルプスの山々に囲まれた長野県松本市にキャンパスの一つがある信州大学に、理学部理学科生物学コース4年のSさんは通っています。小さい頃から山や植物が大好きで、広島県から、山岳の自然豊かな同大を志望しました。初めての一人暮らしはどれくらいの費用がかかり、どんな暮らしをしているのでしょうか。 捕獲して作ったタヌキ汁(左)とシカ肉ステーキ(右)。「臭みはなく、おいしかったです」
Sさんが信州大学に興味を持ったきっかけは、高校のときに新聞で読んだ「山岳科学教育プログラム」でした。2017年から始まった大学院の教育プログラムで、信州大学、筑波大学、静岡大学、山梨大学の4大学が連携し、山岳地域を取り巻く環境問題の解決や生物多様性の保全などに対応できる人材育成を目的としています。 ――もともとアウトドアや植物に興味があったのですね。 自宅にゲームなどがなかったので、小さい頃から裏山など外で遊んでいました。次第にアウトドア全般に興味を持つようになり、高校の部活も山岳部でした。「山岳科学教育プログラム」で連携している4大学のなかでも、地元の広島県にはない高山帯があり、山へのアクセスが一番良さそうな信州大学を志望しました。兄も県外に進学していたので、僕が一人暮らしをすることに対して親の反対はありませんでした。ただ、植物の研究がしたくて大学受験で理学部理学科の生物学コースを選んだときは、工学部や農学部より実用性に直結しにくい分野ということもあり、就職面で心配されました。 ――大学に入学した2020年春は、新型コロナウイルスの感染が拡大した時期でした。 5月までは休校の状態で、そのあとは週1で対面授業が始まりました。毎日通学しているわけではなかったので、隙間時間に家事をしていました。自炊もシチューやカレーなどを作ってみて、2、3種類の献立をローテーションするところから始めました。一人暮らしでそれほど困ったことはないですが、病気で発熱したときは病院との往来が大変でした。 ――大学の近くに住んでいるのですか。 大学から約2kmのところにある家賃が月4万円の賃貸アパートに住んでいます。部屋とキッチンスペースの広さが決め手で、特にキッチンは2口コンロを置けることが条件でした。実はお菓子作りが好きで、もともと兄が作るのを手伝っていて僕もハマったんです。家賃と月1万5000円程度の水道光熱費は親が負担してくれています。 長野県は海に面していないので魚介類は割高に感じますが、野菜は種類が多くて安いのがいいですね。直売所には見慣れない野菜もあって、試しに買っては調理しています。食費は月2万円程度。ほかの食材も数日分をまとめ買いしたり、1日に使う上限金額を決めたりしてやりくりしているので、お金が足りなくて困ったことはないです。最近は研究などで忙しくてお昼は学食や生協で買ったパンで済ませていますが、お弁当のほうが安上がりなので、時間に余裕があれば自分で作って持参します。大学までは徒歩や自転車で通っているため、交通費もほとんどかかっていません。