【大学生活とお金】大自然に囲まれて バイトは「ブドウの集荷作業」、狩猟免許も取得
大きな出費は?
――アルバイトはしていますか。 1年の夏から、JAの集荷場でアルバイトをしています。2023年はシャインマスカットを多く取り扱いました。シフトの融通がききますし、店舗に出せないブドウがおやつ代わりに出てくるのも楽しみの一つです。最近は、無印良品で販売のアルバイトも始めました。どちらも時給1000円で、週3、4日は入っています。アルバイト代は月3万円くらいになります。これに月2万円の仕送りでやりくりしています。余ったら貯金に回していますが、普段はあまりお金を使わないので自然とたまっていく感じです。 ――普段はあまりお金を使わないということですが、大きな出費はありますか。 年2、3回くらいの頻度で買うアウトドア用品です。登山靴は数年に1回は買い替えますが、安全性が高いしっかりしたものを選ぶと5万~6万円はします。ピッケルやレインコートなど少しずつ買い足しているので、4年になった今は装備が充実してきました。これらはサークル活動や研究で山に入るときにしっかり活用しています。地元にはほとんどなかった専門店が松本市にはいくつかあり、ほしいものを手に取って吟味できるのがうれしいです。 ――サークル活動はまだ続けていますか。 4年の初めまで山登りなど自然探訪をするコミュニティサークルに所属していました。僕は高山植物好きですが、キノコ好きや昆虫好きなど自然が好きなメンバーが集まっていて、いろんな生き物について知ることができて楽しかったです。登山自体は年5、6回はしていて、八ケ岳や乗鞍岳などに登ったり、新田次郎が描く山岳小説に登場する山に「聖地巡礼」したりして、やはり信州は山が近くて狙い通りだったと実感しています。
――信州大学に進学したことで、山中心の日常になっていますね。 日常的に山に登るので、万が一遭難したときのために、年会費5500円の「ココヘリ」にも加入しています。会員証が発信機になっていて、その電波をもとにヘリコプターが捜索するサービスです。 あとは先輩について行って狩猟も始め、2年時にわな猟免許を取りました。独学ですが、捕獲した動物の解体もします。これまでに捕ったのは、シカ、キツネ、タヌキ、アナグマなどです。こうした野生生物の個体数増加や農業被害が深刻化している中で、シカなどがわなにかかってしまう環境がいいのかというと複雑ですが。 今は卒業研究の調査のために山に行く頻度が増えています。その都度、バスなどの公共交通機関やレンタカーを利用するより自分の車を持つほうが維持費を含めても安上がりなので、半年くらい親に交渉して、4年になったときに車を購入してもらいました。ガソリン代だけ自分持ちです。 ――帰省の際も車を使っていますか。 お正月やお盆、春休みなど年4回くらい、車で8~9時間かけて帰省しています。それまでは片道5時間くらいかけて、松本から名古屋までJRの特急で、名古屋から広島までは新幹線と乗り継いで帰っていました。車のほうが時間はかかりますが、高速道路の深夜割引や休日割引を活用すれば鉄道よりも安いし、荷物が積めるので便利です。 ――就職は決まっているのですか。 昨年、就職活動を行い、内定をいただきましたが、それを保留にして大学院に進学する予定です。24年は、信州大学への進学を決めるきっかけになった「山岳科学教育プログラム」も受講したいと思っています。自然環境に恵まれ、好きなことを研究できる今の暮らしはとても充実しています。
【ウチの大学自慢】
講義で習ったことを山に登って実感できるという実践的な学びの環境に満足しているSさん。自然が身近にあるせいか、所属しているサークルのメンバーも、信州大学の先生方もアウトドアやフィールドワークに理解のある人が多いといいます。近隣の山を歩いていても、ごみのポイ捨てが少ないことは、自然好きのSさんにとってうれしい気づきだったそうです。
朝日新聞Thinkキャンパス