ドンキさんマジか…商品に批判殺到→「その後の対応」が一枚も二枚も上手だった!
● 無能なリーダーのNG行動 無能なリーダーが「私がすべてチェックする」などと宣言し、組織が機能不全になっていくなどという例は枚挙にいとまがない。早いうちから権限委譲を行い、現場のアイデアを吸い上げる仕組みが必要であろう。自分が10歩歩くより、組織20人で1歩進んだほうがいいということは、心に刻むべきだ。 アムステルダム大学経済学部のフェルディナンド・フォン・シーメンス教授が2011年に発表した経営論文『意図に基づく互恵性とコントロールの隠れたコスト』には次のような指摘がある。 ・上司が管理を行わずに従業員を信頼していると従業員が感じた場合、従業員はその信頼に応えて高い努力をする ・管理が強化されると、従業員はその行動を「信頼がない」と解釈し、結果として努力を抑制する ドンキほど放ったらかせとはいわないが、この研究論文の結果をみても、プロセスコントロール(結果に至る過程)をゆるくすることが、スタッフのモチベーションにも重要なのは明らかだ。 上から「あれもダメ、これもダメ」「私、それ聞いてない(=1からやり直し。または却下)」などと言われては、やってられない。
● 何でもブロックする上司の特徴 私もかつて歴史の古い出版社にいたが、なにか新しいことを始めようとすると「ウチの会社っぽくないね(=やめたほうがいいよ)」「ウチにはウチのウェイがある」などと文句をつけられた。 会社の業績が悪くなると、途端に態度を変えて「アイデアを募集」などと言い出したのも含めて、今では良い思い出だが、組織がうまくいっている間は、上司というものは管理を強めてくるものだ。 ドンキのすごさは、好調であっても、管理を強めるどころかますます権限を委譲しようとしているところだ。何でもありにして、結果だけを問うような組織体にするには、トップの強い意志が必要ということであろう。 そしてまた、プロセスコントロールをしない分、結果については「信賞必罰」をモットーに、盛んに昇格や降格があるのもドンキの特徴だ。 創業者である安田隆夫氏はドンキの人事制度についてこう述べている。 「通年で下位20%のミリオン支社長は自動降格して幕下になる。上位になったら上位になったで、また新しい番付がその翌年から始まりますから、幕下に落ちないように頑張るしかないですね。もう一度、ゼロからやり直しですから」 「大企業病を排除して、(従業員)一人ひとりの個性、生きざまを把握しながら、みんなで一つの目的に向かっていける、有機的な結合を持った、いわばチームとしての組織をつくろうとしたんですよ」 (日経ビジネス、8月5日)