両親が“熟年離婚“するそうです。反対はしませんが将来両親それぞれの「援助」をするべきでしょうか?
「熟年離婚」という言葉を耳にしたことがある人は少なくないでしょう。 厚生労働省の「令和5年(2023年)人口動態統計月報年計(概数)の概況」の統計では、全体の離婚件数のうち、熟年離婚とされる同居期間が20年以上の夫婦の離婚件数は2割に上っています。この数字からも分かる通り、熟年離婚は珍しいことではないといえるでしょう。 今回のケースでは、両親が離婚を選択した場合、将来的に父と母、それぞれに援助をする義務が子どもにあるのか、について考えてみました。 ▼夫婦2人の老後、「生活費」はいくら必要? 年金額の平均をもとに必要な貯蓄額も解説
子どもには親を扶養する義務がある?
民法の第877条では「直系血族及び兄弟姉妹は互いに扶養をする義務がある」と定めています。直系血族とは、自分から見て父や母、祖父母、子、孫などの直系関係にある血族のことです。 今回の場合、子である自分は、直系血族である父と母を扶養する義務があることになります。 「扶養する」とは、面倒を見るという意味です。具体的には、介護をしたり、老人ホームを選んだりなどの身上の扶養と、生活費を援助するといった経済的な支援による扶養が該当すると考えられています。 親に対する子どもの扶養義務は、原則として経済的な扶養とされています。子どもは、自分の生活に影響が出ない程度の範囲内で、親を経済的に援助する義務があるといえるでしょう。 ■両親それぞれ支援する場合、いくら必要? 総務省統計局の「家計調査報告(家計収支編)」(2023年)のデータによると、無職の65歳以上の単身世帯における消費支出は14万5430円です。これに税金や社会保険料などの非消費支出をあわせると、月に15万7673円の支出額となります。 一方、収入は約12万6905円であり、収入から支出を引くと3万円以上のマイナスです。この金額から考えると、子どもが一人で父と母それぞれを支援する場合、月に6万円以上の出費が増える計算となります。 65歳以上の世帯の収入は、社会保障給付(年金)が中心になるケースが多いでしょう。年金の受給額は個人差があり、受給額が少ない場合はさらに不足額が増える可能性もあります。 ■親の熟年離婚が子どもに与える影響 両親が熟年離婚する場合、経済的な援助以外にも、引っ越しや手続きなどで親から頼られるかもしれません。そのために時間が必要となり、子ども自身の生活に影響が及ぶこともあるでしょう。また、両親が孤独を感じないための精神的なケアが必要になったりする可能性もあります。 離婚後、両親がそれぞれ住居費や医療費など、生活費としてどれぐらいの金額が必要になるのか、また貯蓄や年金を含めた収入はどれぐらいあるのかを、大まかに把握しましょう。そのうえで、子どもとして支援をどうしていくのかを一緒に考え、具体的な支援内容について話し合うことをおすすめします。 両親の将来も大切ですが、子ども自身の生活や経済的・精神的な負担も考慮に入れる必要があります。両親にはできることとできないことがあることを理解してもらい、援助によって自身や自身の家庭に過度の負担をかけないか、慎重に検討する必要があるでしょう。