トヨタが育てた「欧州車」 3代目アベンシス 英国でも定評の信頼性 UK中古車ガイド
トヨタへ厚い信頼を寄せる英国人
友人の1人は、かつてトヨタ・アベンシスに乗っていた。1997年に発売された初代だった。筆者の父も、2台を乗り継いだ。信頼性を重視する年齢になっており、まさに理に適った選択といえた。 【写真】トヨタが育てた「欧州車」 3代目アベンシス アイゴXとC-HR 現行カローラ・ツーリングも (113枚) 実は妻も、アベンシスに気に入って乗っていた。後にBMW 320d クーペへ買い替えたのだが、納車から数週間後にターボが故障。トヨタの信頼性の高さを、改めて実感した瞬間だった。 どんなメーカーのクルマでも、不具合からは逃れられないだろう。それでも、多くの英国人はトヨタへ厚い信頼を寄せている。そんな人々へ最高の技術力で応えたモデルが、2009年から2018年まで売られていた、3代目アベンシスだ。 先代までと同じく、アベンシスはグレートブリテン島中部のダービーシャー州にある、トヨタの工場で生産。サルーンとステーションワゴンの他に、短期間ながらハッチバックも用意されていた。 ライバルはフォード・モンデオや英国オペルのヴォグゾール・ベクトラなど。実際のところ、運転の楽しさに加えて、インテリアやスタイリングではフォードの方が有利といえた。信頼性も悪くはなかった。 それでも、アベンシンスの走りは静かで快適。製造品質は高く、車内空間にはゆとりがあった。妻も、そんな強みを高く評価していたようだ。ステーションワゴンは、日本へも輸出されている。 英国市場で提供されたエンジンは多彩。自然吸気で147psの1.8L 4気筒ガソリンや125psの2.0L 4気筒ディーゼルターボが主力で、特に後者は30.5kg-mとトルクが太く、キャンピングトレーラーなどの牽引もこなした。
SUVに紛れない、今でも価値ある選択肢
3代目は、2012年に1度目のフェイスリフトを受ける。スタイリングヘ手が加えられ、静寂性や乗り心地を改善。サポート性に優れるシートへ置換され、2.0Lディーゼルターボは燃費も向上した。 2015年にもフェイスリフトが行われ、新しいトヨタ顔を獲得。インフォテインメント・システムがアップデートされている。ステーションワゴンは、ツアラーからツーリングスポーツへ改名された。ディーゼルターボエンジンには、1.6L版が追加されている。 現在の英国の中古車市場で、選択肢が多いアベンシスは1.8Lガソリン。燃費は15.0km/L以上を期待できるものの、少々パワー不足を感じるかもしれない。 Dセグメントのモデルらしく、標準装備は充実していた。ミドルグレードを探せば、17インチ・アルミホイールにカーナビ、エアコンなどは普通に備わる。7エアバッグが標準装備で、安全性にも抜かりはない。 2015年以降のモデルでは、バックカメラを搭載。上級グレードにはアルカンターラ内装にアダプティブLEDヘッドライト、キーレスエントリー・システムなども追加された。 控えめな見た目で、走りは快適。実用性に優れるステーションワゴンは特に、SUVやミニバン一辺倒の時代へ紛れたくないドライバーにとって、今でも価値ある選択肢ではないだろうか。