もっと燃費が良ければ理想的! マツダMX-30 R-EV 長期テスト(2) パワージェネレーターが故障
積算2225km 静かで快適な高速走行
筆者は、プロのフォトグラファーだ。AUTOCARの取材では遠出も多く、ここ半年だけで4万km前後走っている。早朝から丸1日撮影をこなし、日が暮れた頃に高速道路を2時間ほど運転して自宅へ向かう、という過酷なスケジュールも多い。 【写真】発電用「ロータリー」で新風 マツダMX-30 R-EV バッテリーEV版とRX-8 アイコニックSPも (135枚) そのため、クルマはできるだけ安楽・平穏なものであって欲しい。リラックスして、先を急げるという特徴を求めている。ありがたいことにマツダMX-30 R-EVは、クルーズコントロールをオンにすれば、穏やかに高速道路を快走できる。 リアのサスペンションはマルチリンクで、乗り心地はしなやか。アスファルトの修復場所や橋桁の継ぎ目、ザラついたコンクリート舗装でも、滑らかに突き進んでくれる。 フロントはマクファーソンストラット式で、ステアリングも正確。ドライバーの意のままに運転できる、コンパクト・クロスオーバーだ。 それ以上に印象的なのが、丁寧に仕立てられたインテリア。上質さでいえば、同クラスのレクサスUXやBMW X1以上かもしれない。高速走行時の車内は、非常に静かでもある。ダッシュボードのレイアウトも考え込まれ、操作しやすい。 インフォテインメント用モニターは、ダッシュボードの上部にあり、目線の移動は最小限で済む。表示内容をナビからラジオに切り替えたい場合は、センターコンソール上のローター・コントローラーとボタンで直感的。覚えれば、手元の感覚で扱える。
過去ベストのタッチモニター 褒めにくい燃費
AUTOCARでは何度も触れているが、最近のモデルには、大きなタッチモニターがつきもの。しかし、多くの機能がサブメニューに別れて登録されており、画面を見ながらでないと操作は難しい。タッチモニターに残る指紋も、ギラギラして気になりがち。 他メーカーのインテリア・デザイナーも、MX-30 R-EVの車内を体感してみて欲しい。撮影を通じて、筆者は多くのモデルのインフォテインメント・システムへ触れてきたが、過去ベストのシステムだと思う。 ただし、自分が求めるクルマ像に対して、完璧というわけではない。小さなロータリーエンジンが発電用として載っているが、場面によってはノイズが平穏を乱すのだ。 1度目覚めると、通りの反対側で建設工事が進められているような、少し耳障りなエンジン音が車内へ充満する。アクセルペダルを踏み込むと、特に顕著だ。 とはいえ、ラジオのボリュームを少し上げれば、気にはならなくなる。助手席の人と会話していれば、忘れてしまう程度ではある。 燃費はもう少し伸びて欲しい。駆動用バッテリーをフル充電した状態で、高速道路を300kmほど走らせた時の燃費は約12.5km/L。ウンザリするほど悪くはないが、現代のこのクラスのクロスオーバーとして、褒められる数字でもない。 充電が充分ではなく、駆動用バッテリーの残量を43%以上に保とうとするノーマル・モードのままなら、8.9km/Lへ悪化する。これは期待外れといえるだろう。